入れ歯が合わなくて困っておられる方は、入れ歯の調整が必要になります。入れ歯には保険適用の入れ歯と自費診療の入れ歯があり、使われている素材や装着感がかなり違いますのでご説明します。
目次
入れ歯が合わないときの様々なお悩みと対応について
入れ歯が合わないと感じる時には、違和感や痛みなど、様々なことを感じておられることと思います。入れ歯の装着時に感じる様々なお悩みについてご説明します。
入れ歯で噛むと痛い
入れ歯をお口に入れて食事をすると、入れ歯が歯茎に当たって痛みが出るときがあります。
- 入れ歯によって歯茎が擦れて炎症が起こっている
- 歯茎の弱い部分に入れ歯で噛む力が加わって痛みが起こる
- 入れ歯の縁に舌が当たって痛い
- 入れ歯と歯茎の間に食べ物の小さな欠けらが挟まって痛みが起こる
入れ歯を調整しながら、少しずつ入れ歯を装着した状態にお口を慣らしていくことで解決します。その間は、硬い食べ物を避けて、なるべく柔らかいものをゆっくりと召し上がるようにして下さい。
入れ歯で頬の内側を噛んでしまって痛い
奥歯の入れ歯の場合、食事の際に頬の内側を噛んでしまって、その部分が口内炎になって痛む場合があります。次第に入れ歯に慣れて頬を噛まなくなりますが、口内炎が治るまではなるべく柔らかいものを食べるようにして、強く噛むことの内容に気をつけましょう。
入れ歯を入れると吐き気がする
入れ歯を装着するとお口の中に異物を入れることになるため、吐き気をもよおす場合があります。特に奥歯の場合は、喉の敏感な部分に近いため、吐き気を感じやすいです。
一言で吐き気といっても、その日の体調によって吐き気を感じることがある方や、常に吐き気を感じる方など、様々です。
奥歯を数本失っている場合や、総入れ歯の場合は入れ歯の土台となる床の部分が大きいため、敏感な喉の部分に刺激を与えやすいです。吐き気がどの程度のものなのかにもよりますが、保険診療の入れ歯の方には自費診療の入れ歯を検討して頂くか、またはブリッジやインプラントも視野に入れて検討する必要があるかもしれません。
食べ物の味や温度を感じにくくなった
入れ歯の形状によっては、大きく口腔内の粘膜を覆ってしまい、そのために食べ物の温度や味を感じにくくなる場合があります。そのために食事を全く楽しめなくなったとおっしゃる患者さんもおられます。
この場合は、現在使っておられる入れ歯の調整では改善できないことが考えられるため、自費診療の入れ歯やブリッジ、インプラント等の治療も検討して頂きたいと思います。
入れ歯を入れると喋りにくい
喋りにくかったり、発音が不明瞭になるというのは、前歯の入れ歯の場合に起こりやすいです。また、総入れ歯をお口に入れると口腔内のスペースが狭くなるために舌を動かしにくくなります。そのため発音しにくくなります。
入れ歯によって喋りにくくなったり発音しにくくなる場合は、ある程度はトレーニングで慣れることで解決しますが、解決しない場合は自費診療の入れ歯やブリッジ、インプラントなどの治療の検討が必要になります。
入れ歯に慣れるにはどうすればいいの?
入れ歯はいくら精巧に作られていても異物には違いないため、お口に入れると違和感を覚える方が多いです。特に食事の時に違和感が強くなりますので、外してしまう方がおられますが、入れ歯に慣れるためにはなるべく入れ歯をつけて飲食する練習をしましょう。
水分は入れ歯に慣れるまではゆっくりと少量ずつ飲むようにして慣らしていきます。
食べ物は、最初はあまり強く噛む必要のない柔らかい食べ物から慣らしていきましょう。煮込んだり蒸したりして柔らかく調理すると共に、繊維質の多い野菜や硬い肉などは最初は避けるようにしましょう。
また、最初のうちは食べ物や飲み物の温度を感じにくいことに慣れていないため、熱いものをぐっとお口に含んで火傷をしてしまう危険がありますので注意しましょう。
更に、入れ歯に慣れるためには、出来るだけ長時間装着するようにします。最初は外したくなってしまうかもしれませんが、日中、出来るだけ長くつけるようにしましょう。夜には必ず外してきれいに洗い、入れ歯洗浄液などに朝まで浸けておきます。
これを毎日繰り返すことで、殆どの方が徐々に入れ歯を装着する生活に慣れてきますので、ご安心下さいね。
どうしても入れ歯が合わないときはどうしたらいい?
入れ歯に慣れるための努力や工夫をしても、どうしても入れ歯の違和感が気になったり、痛みが合ったり、噛めないなどで困っておられる方もおられるでしょう。その場合は、まず歯科医院に相談して調整してもらいます。
入れ歯安定剤を使用して良いかどうかは、歯科医師によって意見が分かれるところですので、使用する前に担当医にきいてみることをおすすめします。
また、保険適用の入れ歯で違和感の強い方は、自費診療の入れ歯を作ることでかなり快適さに違いがあります。それでも、感じ方は人それぞれで個人差が大きいため、自費診療の入れ歯なら大丈夫、とも言い切れません。
歯を失った時の治療法には、入れ歯以外にブリッジとインプラントがあります。それらも含めて治療方法を見直すことも視野に入れましょう。
総入れ歯と部分入れ歯
入れ歯は、義歯によって補う歯の数によって部分入れ歯と総入れ歯に分かれます。総入れ歯は歯が全くない無歯顎の方向けの入れ歯で、それ以外の方は部分入れ歯になります。
部分入れ歯
1本~数本の歯を失っておられる方には部分入れ歯を作製します。部分入れ歯は、残っている歯にクラスプと呼ばれるバネをかけて安定させます。歯茎を覆うように床(しょう)と呼ばれる部分があり、そこに義歯が埋め込まれるように並んだ形状をしています。
部分入れ歯の形は失った歯の場所や本数によって違います。
総入れ歯
すべての歯を失った場合に使用する入れ歯を総入れ歯と呼びます。歯茎を覆う床と義歯で成り立っており、お口の粘膜を床にぴったりと吸着させて入れ歯を安定させます。
保険の入れ歯と自費の入れ歯の違い
保険適用の入れ歯
保険診療では入れ歯に使える材質が決まっており、人工歯と床はレジンやプラスチックで作られます。レジンやプラスチックで作られる床は成形するためにある程度の厚みが必要です。そのため保険の入れ歯はお口に入れた時の異物感がやや強くなり、食べ物の温度が伝わりにくいです。
また、歯にひっかけるクラスプは金属製で銀色をしています。そのため入れ歯の場所によっては他人から見えてしまいます。
保険適用の入れ歯のメリット
- 保険がきくため費用が比較的安価で作れる
保険適用の入れ歯のデメリット
- 床に厚みが必要なのでお口に入れると違和感が出やすい
- 床の厚みのために食べ物の温度や味がわかりにくくなる
- 床が汚れやにおいを吸着して洗っても取れにくくなる
自費診療の入れ歯
自費診療で入れ歯を使う場合は、使用する素材に制限がないため、保険診療の入れ歯と比べるとかなり快適な入れ歯が作れます。
例えば床の部分には金属が使えますので、レジンやプラスチックと比べてかなり薄く作ることが出来ますし、クラスプのない入れ歯や、クラスプが樹脂で出来た入れ歯を作ることも可能です。
人工歯もかなり天然の歯に似せて作ることが出来ますので、保険の入れ歯と比べると見た目も改善されます。
自費診療の入れ歯のメリット
- 入れ歯の素材が自由に選べるため床が薄く違和感が少ない
- クラスプがない形のものやクラスプが樹脂のものを作れる
- 快適で噛みやすい入れ歯を作ることができる
自費診療の入れ歯のデメリット
- 保険がきかないので費用が高額になる
入れ歯が合わないときの対処に関するQ&A
入れ歯が歯茎に当たることで痛みが生じる場合があります。歯茎の弱い部分に噛む力が加わるために痛みが起こることもあります。また、入れ歯の縁に舌が当たって痛く感じることもあります。食べ物の欠けらが入れ歯と歯茎の間に挟まり、痛みを引き起こすこともあります。
特に奥歯の入れ歯の場合、食事の際に頬の内側を噛んでしまい、口内炎が生じることがあります。頬を噛まなくなるまで徐々に慣れることができますが、治るまでは柔らかい食事に気をつけることが重要です。
入れ歯を装着するとお口の中に異物を感じるため、吐き気をもよおす場合があります。特に奥歯の場合は、喉の敏感な部分に近いため、吐き気を感じやすいです。体調や個人差によっても吐き気の程度は異なります。
まとめ
入れ歯を作ったものの、装着してみたら違和感が大きくて驚いたとおっしゃる方もおられます。噛むときの痛みは入れ歯の調整で解決できる場合もありますし、慣れることで解決する問題も多いのですが、我慢して使い続けるのが辛いという方は、自費診療の入れ歯や、他の治療法を検討するべきかもしれませんので、まず歯科医院にご相談ください。