インプラント

インプラントとブリッジの比較 どっちが最適な治療法?

インプラントとブリッジの比較 どっちが最適な治療法?

高槻クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 髙野 祐

インプラントとブリッジは共に歯を失った時の治療方法です。どちらの治療法がより良いのかは、簡単には決められませんが、それぞれの違いや特徴、メリット、デメリットをご紹介することによって、インプラントとブリッジという二つの治療法への理解が深まり、患者さんにぴったりな方法を選択することが出来ると思います。

ブリッジとは?

ブリッジとはどんな治療法?

ブリッジとは、歯を失った時に両隣の歯を削って土台にして、前後の歯の被せ物とダミーの歯の3本連結の被せ物を、橋渡しをするように被せる治療です。

横から見ると橋のようになっているためにブリッジと呼ばれます。固定式でご自分での取り外しは出来ません。保険がきくため費用が安価で、良く行われている方法です。※前歯の場合は保険適用外のセラミックなどの素材で作ることをお勧めします。

ブリッジの噛む力は天然の歯よりはやや劣ることと、両隣の歯が健康な歯であっても削る必要があること、一番奥の歯を失った場合にはブリッジが出来ないことなどのデメリットがあります。

ブリッジ

ブリッジのメリット

  • 両隣の歯に連結された被せ物を接着するため違和感・異物感が少ない
  • 天然の歯と比べて60%程度の力で噛める
  • 保険適用なので安価※前歯の場合は自費診療のセラミックが推奨
  • 数回の通院で短期間での治療が可能

ブリッジのデメリット

  • 健康な歯を削らなければならないため歯の寿命を縮める
  • 一番奥の奥歯を失った場合にはブリッジが出来ない
  • 保険適用のブリッジには使える素材に制約がある。前歯をブリッジで美しく治療したい場合は自費診療のセラミックになる
  • 自費診療の材料でブリッジを作ると高額になる
  • 土台となる歯に負担がかかり、歯の寿命を縮めるリスクがある
  • 天然歯と義歯の間に食べ物が詰まりやすい

ブリッジはこんな方におすすめ

  • 早く治療を終えたい方
  • 治療にあまり費用をかけたくない方
  • 外科手術を受けたくない方

前後の歯を削ることについて

ブリッジは手軽な治療法である反面、前後の歯を土台にするため、削らなければなりません。3本連結の被せ物のための土台とするには、歯を全周にわたって1~1.5ミリ程度削る必要があります。

インプラント治療とは?

インプラントの構造

欠損した歯の歯根が埋まっていた顎骨にチタン製のネジのような形をした人工歯根を埋め込み、その上に上部構造を被せて、失った歯の機能を補う治療です。天然歯の構造に近いため、よく噛めて見た目も美しいのが特徴です。

インプラントのメリット

  • 骨に直接人工歯根を埋めるので周囲の歯を削ったり傷めたりしない
  • 歯茎から上に見えているのはセラミックの被せ物だけなので天然の歯と見た目が殆ど変わらない
  • 噛む力が大変強い
  • 固定式なので違和感がない
  • 歯槽骨が吸収するのを抑制できる
  • 天然歯と変わらない感覚で歯磨きができる

インプラントのデメリット

  • 自費診療なので費用が高額になる
  • 外科手術が必要になる
  • 治療期間が長くかかる
  • 感染に弱い。インプラント周囲炎を予防するためメンテナンスを必ず受ける必要がある

インプラントはこんな方におすすめ

  • 健康な歯を削りたくない方
  • 治療費が高くても美しい歯を入れたい方
  • 人工の歯だとバレるのが嫌な方
  • しっかり噛めるようになりたい方
インプラント模型

インプラントとブリッジの比較に関するQ&A

ブリッジの治療法はどのような特徴がありますか?

ブリッジは固定式の補綴物で、ご自分で取り外すことができません。保険が適用されるため、費用が比較的安価で一般的に行われています。ただし、前歯の場合は保険適用外の素材であるセラミックが推奨されることがあります。

ブリッジのデメリットは何ですか?

ブリッジのデメリットとして、健康な歯を削る必要があるため、歯の寿命を縮める可能性があること、一番奥の歯を失った場合にはブリッジが適用できないこと、保険適用のブリッジには素材に制約があるため前歯の補綴を美しくしたい場合は自費診療のセラミックが必要となること、自費診療の材料でブリッジを作ると高額になること、土台となる歯に負担がかかり歯の寿命を縮めるリスクがあること、食べ物が詰まりやすいことが挙げられます。

ブリッジはどのような方におすすめですか?

ブリッジは早く治療を終えたい方、あまり費用をかけたくない方、外科手術を受けたくない方におすすめです。

まとめ

歯のキャラクター

インプラント、ブリッジにはそれぞれメリットとデメリットがありますので、よく理解したうえで治療方法を決めることが大切です。しかし失った歯の場所や本数によっても最適な治療が変わってきますので、まず歯科医院にご相談いただき、担当医とご自身に合った方法を選んでいきましょう。

インプラントとブリッジは、それぞれ異なる状況において最適な治療法となる可能性があります。以下に、この比較に関する研究を2件紹介します。

Pol et al. (2022) の研究では、自然歯と歯科インプラントを支持体とした3単位固定歯科プロセスに関して、生存率、成功率、臨床的および放射線学的成果、患者の報告結果の点で、インプラントと歯を比較しています。この研究は、インプラントと歯を支持体とする治療の違いを評価するためのものです。【Pol, C. W., Raghoebar, G. M., Cune, M. S., & Meijer, H. J. A. (2022). Three‐unit fixed dental prostheses supported by either two abutment implants or two abutment teeth: A comparative retrospective cohort study. Clinical and Experimental Dental Research, 8(3), 497-505

また、Olsson et al. (1995) の研究では、インプラントと自然歯を組み合わせて支えるブリッジと、インプラントのみを支えとするブリッジの結果を比較しています。この研究は、インプラントと自然歯を組み合わせたブリッジが、インプラントのみを使用したブリッジと比較して、周辺骨の損失が少ないことを示しており、歯とインプラントの組み合わせが望ましい場合があることを示唆しています。【Olsson, M., Gunne, J., Åstrand, P., & Borg, K. (1995). Bridges supported by free-standing implants versus bridges supported by tooth and implant. A five-year prospective study. Clinical Oral Implants Research, 6(2), 114-121

これらの研究結果に基づいて、インプラントとブリッジのどちらが最適な治療法かは、患者の特定のニーズや臨床的状況によって異なります。インプラントは、自然歯を失った場所に直接置かれ、自然な見た目と機能を提供しますが、ブリッジは隣接する歯を支持体として使用し、歯の喪失に対処します。治療選択は、患者の口腔の健康、美的要望、および経済的考慮に基づいて行われるべきです。

この記事の監修者
医療法人真摯会 高槻クローバー歯科
院長 髙野 祐

2013年 岡山大学 歯学部卒業。2014年 岡山大学病院臨床研修終了

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高槻クローバー歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック