子供の乳歯は大人の永久歯と比べて柔らかいため、虫歯菌の出す酸によって溶かされやすく、虫歯になりやすいといえます。乳歯から永久歯に生え変わるまでの間に虫歯になりやすい場所についてご説明します。
目次
子供の乳歯列時期に虫歯になりやすい場所は?
乳歯が虫歯になりやすい場所は、乳歯の生える順番に関係があります。乳歯にはABCDEとアルファベットの名前がついていて、乳前歯8本(上下左右AB)、乳犬歯4本(上下左右C)、乳臼歯8本(上下左右DE)の20本が生えてきます。
乳歯の生える順番は、やや個人差はあるものの、平均的にはまず下のA2本が生え、次に上のABや下のB、その次にD、C、Eと、上下ともに前歯が先に生えてきます。
乳歯の前歯だけが生えている時
乳歯の前歯だけが生えている時は、前歯同士の間、歯と歯茎の境目、前歯の表面などが虫歯になりやすくなります。
また、食べ物をかじって食べられるようになると、前歯の裏面に食べ物が付着しやすくなりますので、前歯の裏側を歯磨きしてあげなければ虫歯になってしまいます。
歯と歯の間が黒くなったり、歯の表面が茶色く見える場合は、虫歯が疑われます。
乳歯の奥歯が生えてきた時
食べ物を奥歯で噛んで食べられるようになりますので、食べ物が歯の奥歯に溜まりやすくなり、食べカスのなかで虫歯の細菌が増殖するため虫歯になってしまいます。
奥歯で虫歯になりやすいのは歯の噛む面にある細かい溝の部分です。また、乳歯の奥歯が2本揃うと歯と歯の間が虫歯になりやすくなります。
乳歯が全て生え揃った時
乳歯は3才頃に20本全てが生え揃います。全ての乳歯が生え揃ったあとは、奥歯の虫歯に注意しましょう。
奥歯は前歯と比べると、隣の歯と接している面が大きいため、そこに汚れが溜まりやすくなります。加えて、乳歯は永久歯と比べるととても柔らかいため、虫歯になりやすく、虫歯になると進行が早いのが乳歯の虫歯の特徴です。
- 1~2歳では上の前歯の表面と歯と歯の間
- 3~4歳で奥歯が出始めると奥歯の咬む面
- 4~5歳で歯と歯の間に隙間がないと奥歯の歯と歯の間
混合歯列期(お口の中に乳歯と永久歯両方がある場合)に虫歯になりやすい場所は?
乳歯から永久歯への生え変わり時期は混合歯列期と呼ばれ、大体6才~12才くらいまでをいいます。
最初の永久歯は第1大臼歯で、一番奥の乳歯のさらに奥に生えてきます。生えてすぐの永久歯は石灰化度が低く、とても酸に弱く虫歯になりやすいので気をつけなければなりません。
歯が完全に生えるまでは歯の一部が歯茎に埋まった状態ですので、食べ物が歯の上に付着したままになりやすく、歯茎が被さっているために歯磨きもしにくい状態です。
この時期に一番虫歯になりやすいのは第1大臼歯です。小学校の高学年になるまで、親による仕上げ磨きをしてあげることをおすすめします。
永久歯列期(12才以上)
永久歯が28本全て生え揃うと、歯並びによっても虫歯になりやすさが違ってきます。歯と歯の重なりがある場合は、重なった部分に食べ物が挟まりやすかったり、歯ブラシが届かないため汚れが取れにくくなります。
また、親知らずが生えかかっている場合は、その隣の歯も虫歯になりやすいため注意しなければなりません。
どうせ生え変わるからと乳歯の虫歯を放っておいてはダメ
乳歯が虫歯になってもやがて大人の歯に生え変わります。しかし子供の歯は虫歯になると進行が早いので、どんどん溶けて小さくなってしまいます。歯が小さくなると顎の成長が抑制されて、その大きさに合った顎の大きさになります。
そのため永久歯が生えてきた時には、顎が小さく、大人の歯が出てくるためのスペースがなくなってなかなか生えてこなかったり、変な生え方になったりするリスクがあります。
歯並びが悪いとお口の中の清掃が行き届かず、虫歯や歯周病にかかりやすくなり、大人になってから虫歯や歯周病で歯を失うことに繋がっていきます。
子供の乳歯の虫歯は生え変わるから大丈夫、ではなく、きちんと歯医者で治療を受けることで、健康な永久歯に生え変わることが出来、長い目で見ると歯の寿命を延ばすことにも繋がります。
子供の虫歯を防ぐためには?
子供がまだ自分で歯磨きが出来ない年齢の間は、小さいうちはガーゼで歯を拭き取るなどして、そして離乳食を食べられるようになってからは歯ブラシに慣れさせながら、軽い力で歯をブラッシングしてあげましょう。
子供が自分で歯磨き出来るような年齢になったら、親御さんが歯磨きがきちんと出来ているかどうかを確認しながら仕上げ磨きを行いましょう。
小さい子供は自分では隅々まで丁寧にブラッシングするということが出来ませんので、歯磨きを続けることを目標に、ほめてあげながら行ってください。
きちんと噛まなければ飲み込めないような食べ物を食事の中に含め、間食は時間を決めて取るようにするなど、規則正しい食生活が虫歯にならないための注意点となります。
子供が虫歯になりやすい歯に関するQ&A
乳歯列時期に虫歯になりやすい場所は、乳歯の前歯同士の間や歯と歯茎の境目、前歯の表面などです。特に前歯が生えている時は裏側も注意しましょう。
混合歯列期(お口の中に乳歯と永久歯がある期間)に虫歯になりやすい場所は、最初の永久歯である第1大臼歯です。永久歯が生えたばかりの段階で石灰化度が低く、虫歯になりやすいため注意が必要です。
永久歯列期(12才以上)に虫歯になりやすい条件として、歯と歯の重なりがある場合が挙げられます。重なった部分に食べ物が挟まりやすく、歯磨きが難しくなります。また、親知らずが生えかかっている場合も隣の歯が虫歯になりやすいので注意が必要です。
まとめ
子供の年齢によって虫歯になりやすい場所は変わります。子供を虫歯にしないためには、歯磨きの習慣も大切ですが、規則正しい食生活が重要になりますので、間食などの食生活を改善しながら虫歯予防を行っていきましょう。