シニアの方のドライマウスの原因や、ドライマウスかな?と思った時の対策についてご説明します。
目次
ドライマウスは加齢によって起こる?
加齢に伴っておこるドライマウスを「老人性ドライマウス」と呼びます。
加齢によって唾液が減少するドライマウスになる方が多いのですが、近年の研究によって70歳位までは唾液の分泌量に変化はないとされるようになりました。
70歳未満の方でドライマウスの状態になっている方は、加齢よりも、高血圧や糖尿病などの全身的な病気、常用している薬、ストレスなどによる影響が大きいとされています。
70歳以上では、唾液の分泌が減少してドライマウスの方が増えてきます。ある研究では男性の16%、女性の25%に唾液の減少がみられました。特に女性は加齢に伴って唾液の分泌が大きく減少し、70~80歳代では10代の半分以下にまで唾液の分泌が減少することもあります。
シニアのドライマウスはどんな原因で起こるの?
1.生理的な変化
加齢が原因で唾液腺が委縮して唾液の分泌が減少することがあります。ものを噛むと唾液が分泌されますが、加齢よって歯の本数が減り、咀嚼するための筋肉が衰えて、咬む機能が低下します。それらの理由で唾液の分泌が減り、ドライマウスを発症することがあります。
2.全身の病気
シニアになると持病をもっている方が増え、高血圧、糖尿病、腎臓病、脳梗塞、シェーグレン症候群、うつ病、不眠などの病気の方は、ドライマウスを発症することがあります
3.薬の副作用
加齢に伴う持病のために日常的に薬を服用する方が多くなります。それらの薬の副作用によってドライマウスを発症することがあります。
4.水分の摂取不足
若年者に比べると、シニアは水を少量しか飲まない人が多い傾向にあります。水分の摂取不足や脱水症状になると唾液の分泌は抑制されますので、ドライマウスを発症することがあります。
5.栄養不足
シニアの方で一人暮らし、寝たきり、入れ歯が合わない、虫歯を放置等の理由によって、食事を十分に食べられない、または噛めないことで分に摂取できていないためにドライマウスを発症することがあります。
ドライマウスになっていないかチェックしてみよう
こんな症状はありませんか?
- のどの中のねばつき
- 舌の痛み
- 乾いた食品が食べづらい
- 飲み込みづらくなる
- 虫歯や歯周病が多くなる
- 口臭
- 味覚低下
- 咳払い
- 声がれ
ドライマウスはむし歯になりやすいの?
加齢や口呼吸のためにお口が乾燥してドライマウスになると、虫歯になりやすいのでしょうか?
年齢を重ねるにつれて唾液の分泌が減って、お口の中は乾燥気味になってきます。唾液には食べカスや虫歯の原因となる細菌を洗い流したり、ごく初期の虫歯を自然に修復する作用がありますが、ドライマウスになって唾液があまり分泌されないと、唾液の持つ様々な作用のメリットを受けられないため、虫歯になりやすい状態になります。
ドライマウスへの対策は?
唾液の分泌を促してドライマスを防ぐために、ご自分で出来る対策がありますので、ご紹介します。
唾液腺マッサージ
お口の中の唾液を分泌する場所は3か所あり、それぞれ「耳下腺」「舌下腺」「顎下腺」と呼ばれています。お顔の表面から、その場所を軽くマッサージすると、唾液の分泌を促します。
あいうべ体操
あいうべ体操は、口呼吸の改善にも効果のあるお口の体操です。
「あ~い~う~べ~」とゆっくりとお口を動かし、唾液の分泌を促しましょう。1日に30セット位行うと良いです。
昆布水を用いた方法
ためしてガッテンで昆布による「うま味ドリンク」がドライマウスの改善に効果的であると紹介されました。(2018年7月4日)
唾液分泌を促しやすいのはレモンなどの酸味による刺激ですが、効果は短時間となります。
うま味は、酸味に比べて持続的に長時間、唾液分泌を促すことがわかりました。
◆材料:昆布30g 水500ml
◆細かく刻んだ昆布を1日水に浸して昆布だしを作ります。冷蔵庫で保存し2日以内に使い切るようにします。塩分の量に気を付けている方や、甲状腺の病気をお持ちの方は摂取を控えるようにしてください。
◆ペットボトルや水筒に入れて持ち歩き、口の渇きを感じたときに、昆布だしうま味ドリンクで口を30秒ほどすすぎ、そのまま飲む、または吐き出します。
◆ドリンクは必ずしも飲む必要はなく、塩分や、摂取しすぎると甲状腺機能を低下させるヨウ素などを含んでいるため、気になる方は口をゆすぐだけにします。
加齢とドライマウスの関係に関するQ&A
ドライマウスとは、唾液の分泌が減少して口の中が乾燥する状態を指します。その症状には、のどのねばつき、舌の痛み、乾いた食品が食べづらい、飲み込みづらくなる、虫歯や歯周病が多くなる、口臭、味覚低下、咳払い、声がれなどが含まれます。
加齢に伴ってドライマウスになることがありますが、70歳未満の方では他の要因が主な原因とされています。70歳までは唾液の分泌量に大きな変化はなく、ドライマウスの原因としては高血圧や糖尿病などの全身的な病気、薬の副作用、ストレスなどが挙げられます。しかし、70歳以上では唾液の分泌が減少し、ドライマウスが増える傾向が見られます。
ドライマウスの対策としては以下のような方法があります。
1.唾液腺マッサージ: 唾液腺を軽くマッサージして唾液の分泌を促す方法があります。
2.あいうべ体操: 口の中を動かして唾液の分泌を促す体操を行うことで改善できます。
3.昆布水を用いた方法: 昆布による「うま味ドリンク」を口にすすいで唾液の分泌を促す方法もあります。
これらの方法は個人で試すことができる対策として有効ですが、慢性的なドライマウスの場合は医師の診断と適切な治療を受けることが重要です。
まとめ
唾液は食事をしたり、食べ物を飲み込んだり、喋ったりといった日常的な動作に重要な役割を果たしています。
ドライマウスによってこれらの日常生活に必要な動作がやりにくくなったら、相当に不便を強いられることになります。
シニアの方に限らず、ドライマウスかな?と思ったら、ご自身で出来る様々な対策を試してみましょう。