現在、歯科医院では、虫歯や歯周病の治療の他に、予防歯科に力を入れている医院が増えています。予防歯科とは何か、どんなことをするのかについてご説明します。
目次
予防歯科とは?
予防歯科は、虫歯や歯周病になってから治療をするのではなく、なる前に予防をするためのものです。歯と歯の間や、歯と歯茎の間に歯垢をためないように、プロによるクリーニングと、患者さんのセルフケアの両輪で予防を行っていきます。
予防歯科には通うべき?
厚生労働省や日本歯科医師会では、「8020運動」を推奨しています。8020運動とは、80歳になっても20本以上の自分の歯を残すことを目標に、年齢を重ねてもお口の健康な状態を維持していこうというものです。
歯を失ってしまうのは虫歯や歯周病が主な原因となります。虫歯や歯周病になる前に、それらの病気を未然に防ぐことを目的としているのが、予防歯科です。
予防歯科はどのくらいの頻度で何回くらい通う必要があるの?
虫歯治療の場合は1~2週置き位に通院して、何回かで治療が終わりになります。しかし、予防歯科の場合は、虫歯や歯周病の予防が目的ですので、何回で終わり、というわけではありません。
通院する頻度としては、3~4ヶ月に1回という場合が多いです。これは、歯医者でクリーニングをして歯石を除去した後、新しくついた歯垢が歯石に変わるまでには4ヶ月程度かかるとみられているためです。
予防歯科ではどんなことをするの?
予防歯科では、年に3~4回程度、定期健診に通って頂きます。定期健診では、歯科衛生士がお口の中を専用の器械を使ってクリーニングし、ご家庭でのセルフケアでは落としにくい歯と歯の間や歯と歯茎の間の歯垢をきれいに除去します。
また、歯ブラシでは落とすことの出来ない歯石を除去することもクリーニングの目的となります。歯垢や歯石の中には細菌が多く棲みついていますので、それらをきれいに取り去れば、お口の中から細菌が減り、結果的に虫歯や歯周病にかかりにくくないrます。
歯科医院での歯のクリーニングはどうやるの?
当院での歯のクリーニングは、エアフローという専用の器械を使って、超微細なパウダー粒子を歯に吹き付けて同時にぬるま湯で洗い流し、歯の表面や歯と歯茎の溝(歯周ポケット)などにこびりついた汚れを落としていきます。
エアフローをタバコのヤニなどの除去のために自費診療で使われている歯科医院も多い中、当院ではエアフローを定期健診時のクリーニングにも使用しており、保険適応で受けて頂くことが出来ます。
エアフローは予防歯科で有名な、スウェーデンのイエテボリ大学で使用されており、虫歯や歯周病の予防に高い効果があるといわれています。
また、歯面の着色汚れも取ることが出来ますので、多少の個人差はありますが、1回のクリーニングでもある程度本来の歯の色に戻すことが出来ます。
予防歯科の内容に関するQ&A
予防歯科は、虫歯や歯周病を未然に防ぐための歯科医療であり、歯垢のクリーニングやセルフケア指導を通じて予防を促します。
通院の頻度は3~4ヶ月に1回が一般的です。この間に新たな歯垢が歯石に変わるまでの期間をカバーし、口内の清潔を保つためです
予防歯科は、虫歯や歯周病を未然に防ぎ、口の健康を維持するために重要です。「8020運動」も支持されており、自分の歯を80歳でも20本以上保つことを目指します。
まとめ
当院の予防歯科は、患者さんに数か月に一度の定期健診(保険適用)を受けて頂き、歯垢や歯石を徹底的に除去することで、お口の中の細菌を減らします。その後、ご家庭でのセルフケアをしっかりと行って頂き、虫歯や歯周病を出来る限り防いで健康なお口を維持していきます。
予防歯科の内容と実践方法に関する2件の研究を紹介します。
1. PearceとCatleugh (2013) による研究では、一般歯科医師が日常の一般診療で予防歯科における最善の実践を提供しているかを調査しています。この研究では、歯科医師が患者に対してどのような予防治療やアドバイスを行うかについて調査し、その結果を予防歯科のガイドラインと比較しています。特に、子供の歯にフッ素バーニッシュを適用することや、喫煙のやめ方についてのアドバイスをする歯科医師が多いことが分かりました。【Pearce & Catleugh, 2013】
2. Cho, Hong, Ha (2015) の研究では、予防歯科と実践に基づく国家資格基準のカリキュラム開発と運用について調査しています。この研究では、歯科衛生士の職務分析に基づいて、予防歯科治療、口腔健康教育、包括的な歯科衛生治療などのタスクが定義されています。また、予防歯科のカリキュラムには、概要、学習目標、関連知識、自己評価などが含まれています。【Cho, Hong, & Ha, 2015】
これらの研究から、予防歯科では患者に対してフッ素バーニッシュの適用や喫煙のやめ方に関するアドバイスを行うことが一般的であること、また、歯科衛生士の教育においては予防歯科治療や口腔健康教育の重要性が強調されていることがわかります。