
「なんだか口の中が鉄っぽい…」
「食事をするたびに、金属の味が気になる…」
もしあなたが銀歯を入れてから、そんな違和感を感じているなら、それは決して気のせいではありません。
歯を大切にしようと治療したはずなのに、日々の食事が楽しめなくなるなんて、想像もしていなかったはず。もしかすると、「もうこの味に慣れるしかないのかな…」と半ば諦めかけていませんか?
でも大丈夫です。
実は、この「金属の味」にはちゃんとした理由があり、それを改善する方法もあるのです。
このコラムでは、なぜ銀歯で金属の味を感じるのか、そしてそれを解決する方法を、分かりやすくお伝えします。
目次
なぜ金属の味を感じるのか?
銀歯によって金属の味を感じる原因はいくつかあります。
1. 金属のイオンが溶け出している
銀歯に使われている金属は、唾液によって微量ながら溶け出します。この溶け出した金属イオンが舌に触れることで、金属特有の味を感じることがあります。特に、酸性の飲食物(炭酸飲料・柑橘類・酢など)を摂ると金属の溶け出しが促進されることがあります。
お口の中に金属が溶け出すということは、唾液によって体内に金属が取り込まれ、金属アレルギーのリスクが高まります。また、ガルバニック電流の影響で、一般的に不定愁訴と呼ばれる不眠、頭痛、肩こりなどを引き起こしている可能性もあります。
2. 口の中で電流が発生している(ガルバニー電流)
口の中に異なる種類の金属(例えば銀歯と金の詰め物など)がある場合、それらの間で微弱な電流(ガルバニー電流・ガルバニック電流)が発生することがあります。この電流が舌の神経を刺激し、金属の味を感じさせることがあります。
お口の中で金属が反応してガルバニック電流が流れると、詰め物・被せ物の金属がイオン化して溶け出します。それで金属の味がするのです。
3. 唾液の性質や体質の影響
唾液のpHが低い(酸性寄り)人や、もともと金属に敏感な人は、銀歯の影響を受けやすいことがあります。また、体調やストレスなどによって、味覚が敏感になることもあります。
もし、金属の詰め物・被せ物のある方で、金属の味がするなどの違和感を感じる場合は、一度歯科医院にご相談ください。
放置するとどうなる?
「ちょっと気になるけど、まあ我慢すればいいかな…」
そんなふうに思っていませんか?しかし、放置すると次のようなリスクがあるのです。
せっかくの美味しい料理も、金属の味が気になって台無しになってしまいます。
長期間、金属イオンが体内に吸収され続けると、金属アレルギーを発症する可能性があります。これにより、口内炎・かぶれ・湿疹などの症状が出ることも。
金属が少しずつ溶け出すことで銀歯自体が劣化し、ひび割れや隙間ができる可能性があります。放置すると虫歯や歯周病のリスクが高まります。
どうすれば解決できる?
では、銀歯の金属の味が気になる場合、どのような対策をすれば良いのでしょうか?
1. 口の中の環境を整える
- マウスウォッシュを活用する
→ pHバランスを整え、金属イオンの影響を抑えることができる。 - 酸性の食べ物を控える
→ 酢・柑橘類・炭酸飲料などを控えることで、金属の溶け出しを減らす。
2. 銀歯を別の素材に変更する
銀歯の代わりに、次のような素材を選ぶことで、金属の味をなくすことができます。
→ 金属を使わないため、金属の味がしない。見た目も自然で耐久性も高い。ただし自由診療なので治療費が高額になる。
→ 金属だが、金やプラチナは唾液で溶けにくく、金属の味が出にくい。銀歯よりも体に優しい。ただし自由診療なので治療費が高額になる。目立つ場所には使えない。
→ 保険適用の白い詰め物。ただし、摩耗しやすく長期的な耐久性はやや低い。
3. 歯科医院で相談する
「銀歯を入れてから金属の味がする」と歯科医に相談すると、あなたの歯の状態に合った最適な解決策を提案してもらえます。
ガルバニック電流(ガルバニー電流)とは?
歯に詰めたり被せたりする異なった種類の金属同士が直接接触したり、唾液によって接触したりすることで微弱な電流が生じることがあります。これをガルバニック電流(ガルバニー電流)といいます。
唾液の酸性度が高いと、金属は溶けやすく、電流も大きくなります。ガルバニック電流が流れるのは、イオン化傾向の差によって起こります。電池と同じ仕組みになります。
どんな時にガルバニック電流が流れるの?
お口の中の詰め物や被せ物によってガルバニック電流が流れる例は、以下のようなものです。
- 上顎と下顎で異なる種類の金属を詰めた。噛むとそれらが接触して違和感や痛みを感じる。
- 新しく金属の被せ物をつけてから金属の味がする。
- 隣り合った2本の歯に違う種類の金属の被せ物を被せたところ、不快感を感じるようになった。
金属の詰め物・被せ物を入れていない場合はこのようなことは起こりません。
ガルバニック電流が流れないようにしたい場合はどうすればいい?
ガルバニック電流は、歯に金属の詰め物や被せ物をした直後によく起こります。しばらくすると症状は軽くなるため、特に対策する必要はありません。
しかし、どうしても金属の味などの症状が気になる方は、詰め物や被せ物をセラミックやレジンなどの非金属に変えるメタルフリーの治療を受けるのが良いでしょう。
メタルフリー治療とは?
メタルフリー治療とは、金属を使用せずに行う歯科治療のことです。
従来の銀歯(パラジウム合金)や金歯の代わりに、セラミック・ジルコニア・コンポジットレジン(樹脂)などの素材を使用して、詰め物や被せ物を作る治療方法を指します。
銀歯は保険診療で良く使われますが、金属の経年劣化や、表面に歯垢がつきやすい、歯と金属の隙間から虫歯菌が内部に入り込みやすい、金属イオンが流出して金属アレルギーが起こる可能性がある、銀色で目立つなど、様々なデメリットがあります。
メタルフリー治療のメリット
1. 審美性が高い(自然な仕上がり)
銀歯は口を開けたときに目立ちやすいですが、メタルフリー素材のセラミックやジルコニアは天然歯に近い色調を再現できるため、自然な見た目に仕上がります。特に前歯の治療では、大きな違いが出ます。
2. 金属アレルギーのリスクがない
銀歯にはパラジウムやニッケルといった金属が含まれており、長期間使用していると金属イオンが溶け出し、金属アレルギーを引き起こす可能性があります。メタルフリー治療では非金属素材を使用するため、金属アレルギーの心配がありません。
3. 歯ぐきの黒ずみが起こらない
金属の被せ物を長年使っていると、金属イオンが歯ぐきに沈着し、黒ずんでしまうことがあります。メタルフリー治療では、こうした歯ぐきの変色を防ぐことができます。
4. 二次むし歯になりにくい
金属の詰め物は、歯との適合性がやや劣るため、詰め物の隙間からむし歯が再発しやすいことがあります。一方、セラミックやジルコニアは歯と精密にフィットするため、むし歯のリスクが低くなると言われています。
5. 体に優しい(生体親和性が高い)
メタルフリー治療に使われるセラミックやジルコニアは生体親和性が高く、人体に悪影響を与えにくい素材です。そのため、健康志向の高い方にも選ばれています。
メタルフリー治療のデメリット
メタルフリー治療には多くのメリットがありますが、デメリットもあります。
1. 費用が高い
銀歯は保険適用で比較的安価ですが、メタルフリー治療の多くは自費診療(保険適用外)となるため、費用が高くなります。ただし、一部の白い詰め物(CAD/CAM冠など)は条件によって保険適用になることもあります。
2. 強度に注意が必要なケースも
セラミックは強い力がかかると割れるリスクがあります。特に、奥歯で強い噛みしめのある方は、ジルコニアのような強度の高い素材を選ぶのがよいでしょう。
3. 技術力が求められる
メタルフリー治療は精密な技術が必要なため、歯科医師の技術によって仕上がりが変わることがあります。信頼できる歯科医院を選ぶことが大切です。
メタルフリー治療は、目立たない白い素材を使いますので目立ちませんし、金属アレルギーが起こる心配がありません。
まとめ

銀歯による金属の味は、決して気のせいではありません。その原因は金属イオンの溶出やガルバニー電流によるものであり、放置するとアレルギーや銀歯の劣化につながることもあります。
銀歯が気になる場合は、セラミックなどの別の素材に変更することも検討する
一度歯科医院に相談し、自分に合った最善の方法を見つける
食事の楽しみを取り戻すために、今日からできることを始めてみませんか?
これから虫歯治療を受ける方や、既に銀歯を入れておられて白い素材に変えたいと思っておられる方には、お口や全身の健康の為に、メタルフリーでの治療をおすすめします。