歯ぎしり・食いしばりは、睡眠中の無意識下で起こり、噛み合わせの悪さやストレスなどが原因とされていますが、医学的な原因ははっきりしていません。そのため、直接的な治療方法はなく、歯を守るための対症療法となります。
歯ぎしりの強い力から歯を守るには?
歯ぎしりの方にお勧めなのは、睡眠中にナイトガードと呼ばれるマウスピースを付けて頂くことです。ナイトガードは保険が適用されます。
マウスピースの効果は?
睡眠中にマウスピースを使用すると、上下の歯が直接当たって強い力で擦られることを防ぎます。歯ぎしりの音もしなくなるため、一緒に寝ている家族の睡眠を妨げることがありません。
クッションの役割を果たすと同時に、歯ぎしりによって歯に加わる力を分散させられるため、歯や詰め物・被せ物が欠けたり割れたりするのを防ぎます。
また、歯ぎしりによる顎関節症の症状を改善させたり、筋肉の緊張をゆるめる効果もあります。
ナイトガードをつけて寝ると違和感あるの?
マウスピースは歯に装着した時に、締め付けられるなどの違和感を感じることがありますが、すぐに慣れてしまい、違和感なく眠ることが出来るようになります。
ナイトガードの作製について
ナイトガードを作るには、歯科医院で型取りをして、患者さんの歯型に合わせたものを作製します。
ナイトガードは使っているうちに、強く当たる部分が擦り減り、穴があいたり、変形が起こる場合もあります。ナイトガードが破損してきた場合は、作り直します。
個人差がありますが、1年位で作り直す場合が多いです。
歯ぎしりの仕方の種類は?
歯ぎしりには3つのタイプがあります。
- グライディング
- タッビング
- クレンチング
1.グライディング
典型的な歯ぎしりとして、「ギリギリ」という音があります。上下の歯を無意識に擦り合わせることで、大きな音が生じます。歯や顎には大きな負担がかかり、歯が欠けたり、詰め物や被せ物が外れたり、顎関節症を起こすこともあります。
大きな音を出すため、家族から指摘されたり、自分の歯ぎしりの音で目覚めることもあります。
2.タッビング
上下の歯を噛み合わせて「カチカチ」という音を出します。タッピングが起こるのは寝ている間だけでなく、起きている間にも起こります。
グライディングよりは音が小さく、歯や顎への力がかかりにくく、負担も少ないです。
3.クレンチング
歯を食いしばる感じの歯ぎしりをクレンチングといいます。クレンチングは音がしないため、家族や周囲の人に気づかれることはありません。眠っている間に無意識で行われますので、力がかかり続けて歯や顎へ大きな負担がかかります。
睡眠時の歯ぎしりから歯を守る方法に関するQ&A
ナイトガードと呼ばれるマウスピースを使用することで、歯ぎしりによる歯の損傷を防ぐことができます。
ナイトガードは、歯ぎしりによる歯同士の摩擦を防ぎ、歯や詰め物・被せ物の損傷を防止します。また、顎関節症の症状の改善や筋肉の緊張緩和にも効果があります。
初めのうちは違和感を感じることがありますが、すぐに慣れてしまい、違和感なく眠ることができるようになります。
まとめ
日中に起こる噛みしめや食いしばりは、出来るだけ自分で意識して上下の歯を離しておくようにします。夜間は気をつけることが出来ませんので、マウスガードで歯を守ります。
歯ぎしりの直接的な治療方法はありませんので、ストレスをためないように工夫したり、早寝早起き、アルコールやタバコの摂取量などの生活習慣を見直して、健康で規則正しい生活を心がけましょう。
マウスピースの正しい洗い方に関する研究を2件紹介します。
睡眠時の歯ぎしりから歯を守る方法に関する研究を2件紹介します。
1. BaderとLavigne (2000) の研究では、睡眠中の歯ぎしり(Sleep Bruxism, SB)を治療するための様々なアプローチについて述べられています。歯科治療、薬物治療、心理行動療法が利用されていますが、特定の治療法は存在せず、個々の患者に合わせて治療を行う必要があります。これらの治療法は、歯の損傷を防ぐだけでなく、非回復性の睡眠による苦情も軽減することができます。【G. Bader & G. Lavigne, 2000】
2. Macedoら (2007) による研究では、睡眠時の歯ぎしりに対する咬合スプリントの効果について評価されています。この研究では、咬合スプリントが歯ぎしりを治療するのに十分な効果があるかどうかについては明確な証拠がないと結論づけられています。しかし、歯の摩耗に対してはいくつかの利点がある可能性が示唆されています。より多くの制御されたランダム化比較試験が必要であるとされています。【C. R. Macedo et al., 2007】
これらの研究結果から、睡眠時の歯ぎしりから歯を守るためには、個別の治療計画のもとで、歯科治療、薬物治療、心理行動療法などの組み合わせを検討することが効果的であると考えられます。また、咬合スプリントの使用は一定の効果がある可能性がありますが、その有効性についてはさらなる研究が必要です。