子供の歯は柔らかいため、虫歯になりやすく、虫歯になった後の進行も早いのが特徴です。子供の歯を虫歯から守るためのシーラントという処置があり、シーラントをすれば子供の虫歯を66%防ぐことが出来るといわれていますので、ご紹介します。
目次
シーラントとは?
シーラントとは、主に子供の虫歯予防のための処置で、奥歯や前歯の細い溝の部分をレジンと呼ばれる歯科専用のプラスチック樹脂素材で埋めてコーティングします。
生えたばかりの6歳臼歯はやわらかく特に虫歯になりやすいため、溝の部分から出来る虫歯を予防するためにシーラントを施します。シーラントは保険診療で行うことが出来ます。
シーラントのメリット
虫歯予防のためのシーラントの処置を受けることのメリットは以下のようなものです。
1. 子供の歯がむし歯になるリスクを減らせる
生えたばかりの子供の奥歯は溝が深く汚れがたまりやすいという特徴があります。そのため虫歯になりやすく、子供の歯のエナメル質はやわらかいために虫歯の進行も早いので悪化させないように注意が必要です。
2. 虫歯の予防効果があるので歯を削らなくて済む
虫歯になると歯を削らなければなりませんが、シーラントの処置を行うと虫歯予防が出来、虫歯治療のために歯を削らなくて良くなる可能性が高いです。
3. シーラントは痛くない
シーラントは歯の溝にレジンを流し込んで固めるだけですので、痛みはありません。
シーラントのデメリット
1. シーラントが取れてしまうことがある
虫歯治療でレジンの詰め物をするときは、歯を削って形を整えてから行います。シーラントは歯の表面をレジンで固めるだけですので、詰め物よりも取れやすく、知らない間に外れてしまっていることもあります。
シーラントが取れてしまった場合はもう一度シーラントの処置をしますが、削る必要はなく、何度でも行うことが出来ます。
2. シーラントをした部分が万一虫歯になっても見えづらく処置が遅れることがある
シーラントの処置の仕方
シーラントは歯科専用のプラスチック樹脂で奥歯の咬合面の溝を埋める処置をいいます。
シーラントは子供の歯に行うことが多く、生えたばかりの永久歯や6歳臼歯と呼ばれる奥歯に行うことで虫歯予防に役立ちます。
シーラントの手順
- シーラントで処置をする歯の汚れを落とすためにクリーニングを行います。
- 歯にプラスチック樹脂をしっかりと接着させるための薬剤を塗布します。
- シーラントを歯の溝に流し込んで、光を当てて固めます。
- シーラントを固めた後、噛み合わせのチェックをしてきちんと噛めることを確認すれば終了です。
シーラントはどの歯にすれば効果がある?
シーラントを行うことで虫歯予防の効果が高まるのは、特に乳歯の奥歯、永久歯の生えたての奥歯です。歯の溝が深い場合は歯ブラシの毛先が届きにくいため、シーラントの処置をおこなうことで効果的に虫歯予防が出来ます。
シーラントはいつしたらいい?
年齢によってシーラントをする歯の部位が変わります。
- 4歳~5歳・・乳歯の奥歯に行う
- 6歳・・6歳臼歯に行う
- 7歳~13歳・・その後生えて来る永久歯の奥歯に行う
シーラントで子供の虫歯を予防するに関するQ&A
シーラントは、子供の虫歯予防のために使用される歯科処置で、主に奥歯の細い溝をレジン(歯科専用のプラスチック樹脂)で埋めてコーティングする方法です。これにより、虫歯の原因となる食べかすや細菌が溝に入り込むのを防ぎます。
シーラントの最大のメリットは、子供の歯が虫歯になるリスクを減らすことです。子供の歯は柔らかく、虫歯になりやすいため、シーラントによって歯の溝を覆うことで虫歯の進行を遅らせたり、予防する効果があります。また、歯を削る必要がなく、処置自体に痛みがないこともメリットです。
シーラントのデメリットとしては、処置したレジンが取れやすいことが挙げられます。また、シーラントをした部分が虫歯になっても、レジンに覆われているため虫歯が見えにくく、処置が遅れるリスクがあります。
まとめ
シーラント処置は、特に子供の歯を虫歯から守る効果的な方法です。シーラントは、歯の溝をプラスチック樹脂で埋めることで、深い溝の清掃が困難な子供の歯を虫歯から守ります。
シーラントには66%の虫歯予防効果があるといわれており、無痛で必要に応じて再処置も可能です。
しかし、シーラントが取れたり、処置した部分の虫歯が見落とされるリスクもあるため、定期的に歯科健診を受けることが重要です。
シーラントは年齢に応じて乳歯や永久歯の奥歯に施すことで、虫歯のリスクを減らし、健康な歯を維持するのに役立ちます。
シーラント(歯の表面に塗布する保護コーティング)は、子供の虫歯予防に効果があるという研究結果があります。以下に、このトピックに関する2件の研究を紹介します。
1. Griffin et al. (2016) による研究では、学校でのシーラントプログラムが虫歯を防ぐ効果があることが示されています。このプログラムは、低所得地域の学校の生徒にシーラントを少ない費用または無料で提供しています。1,000人の子供にシーラントを提供することで、485件の虫歯治療と1.59の障害調整生命年(DALY)を防ぐことができ、コスト効果が高いとされています【Griffin et al., 2016】
2. Canga et al. (2021) の研究は、シーラント治療が6~11歳の子供の永久歯での虫歯発症を防ぐのに有効であることを示しています。この研究では、シーラントを施したグループの歯の78.8%が虫歯にならず、未治療群と比較して虫歯の数が3倍低いことが観察されました【Canga et al., 2021】
これらの研究結果から、シーラントは子供の虫歯予防に効果的な方法であると結論づけることができます。