
ある日のこと。朝、鏡の前で歯を磨いていると、ふと気になる。「ん?なんだかザラザラする…?」舌で歯をなぞると、なんとなく引っかかる感覚。そういえば、最近歯医者に行ってないかも…?
忙しい日々の中で、歯のことはつい後回しになりがち。「歯医者さんに行かなきゃなぁ」と思いながら、気づけば数カ月。仕事に、家事に、子どもの送り迎えに…気づけば時間が過ぎ、「まぁ、痛くないし大丈夫」と先送り。でもある日、ふと鏡を覗くと、「え…なんか黄ばんでる?」とショックを受けることも。
そんなとき、気になるのが 「歯石取りって、どのくらいの頻度でやるのがベスト?」 という疑問。歯医者さんに行くべきタイミングって、どうやって決めればいいの?頻繁に通うのは面倒だけど、放っておくと悪くなりそう…。そんなモヤモヤした気持ち、よくわかります。
この記事では、 「歯石取りの適切な頻度」 について、専門的な視点からわかりやすくお伝えします。あなたの大切な歯を守るために、今できることを一緒に考えていきましょう。
歯石とは?

歯石は、歯垢(プラーク)が唾液のミネラル成分と反応して硬化したもので、歯ブラシや歯間ブラシでは取り除くことができません。放置するとむし歯や歯周病の原因となるため、歯科医院で専用の器具を使って削り取る必要があります。
磨き残した食べ物のカスに細菌が付着して増殖すると、食後から約8〜24時間で歯垢が形成されます。 それから2日程度で歯垢の石灰化が始まり、そこから12~15日の間に歯石になるといわれます。
毎日歯磨きが必要なのは、歯に歯垢をためないためです。歯に歯垢が残ったままになってそのまま時間が経過すると、歯垢は歯石に変わります。
歯石取りの理想的な頻度

- 歯磨きができている人は、一般的に「半年に1回」の歯科医院でのクリーニングが推奨されます。しかし、これはあくまで最低限の目安であり、歯茎に炎症が起こっている場合は、その治療のためにクリーニングの頻度を増やす必要があります。
- 磨き残しが多い人や歯石がつきやすい人は、より頻繁に歯科医院に通う必要があります。特に、高齢者や間食が多い人、過去にむし歯治療を数回受けていて虫歯が出来やすい人は、歯石の蓄積が早いため、3~4ヶ月に1回の受診を検討することが望ましいです。
歯石があまりついていない場合は、定期健診時のクリーニングで歯科衛生士が歯石除去も行います。歯石がかなりついていて、除去に時間がかかる場合は、次回は歯石取りのみの目的で来院していただくケースがあります。その場合は保険のきかない自費診療になることがありますので、事前に確認しましょう。
歯石取りのメリット
歯石取り(スケーリング)は、単に「歯をキレイにする」だけでなく、歯と全身の健康を守るために重要な役割を果たします。ここでは、歯石取りの主なメリットについてご説明します。
① 歯周病の予防・改善
歯石は細菌の温床!
歯石は、歯垢(プラーク)が硬くなったもので、一度付着すると通常の歯磨きでは取り除けません。歯石の表面はザラザラしており、その隙間に細菌が繁殖しやすくなります。
この細菌が歯茎に炎症を起こし、歯周病(歯肉炎・歯周炎)を引き起こす原因に。定期的に歯石を除去することで、歯茎の腫れや出血、口臭を防ぎ、健康な歯茎を維持できます。
② 口臭の改善
「歯石=口臭の原因」と言っても過言ではない!
歯石の中には細菌が大量に潜んでおり、その細菌が悪臭を放つガスを発生させます。特に歯周ポケット(歯と歯茎の間の溝)に溜まった歯石は、嫌な口臭の原因に。歯石を除去することで、口臭の元を取り除き、スッキリとした息を保つことができます。
③ 虫歯のリスクを低減
歯石があると虫歯になりやすい?
実は、歯石が付着すると、その表面にさらに歯垢(プラーク)が溜まりやすくなります。歯垢には虫歯の原因菌が含まれているため、歯石を放置すると虫歯リスクが高まるのです。特に歯の根元に歯石がつくと、そこから虫歯が進行しやすくなります。定期的な歯石除去で、虫歯を予防し、歯の健康を守りましょう。
④ 歯の黄ばみ・着色汚れを防ぐ
見た目にも影響!歯を清潔に保つ秘訣
歯石がついていると、その表面にコーヒー、紅茶、タバコのヤニなどの着色汚れが付きやすくなります。定期的に歯石を取ることで、歯の白さを保ち、清潔感のある口元をキープできます。特に、人と接する機会が多い方にとっては、印象アップにつながる大きなメリットです。
⑤ 全身の健康につながる
歯周病は「万病のもと」!?
近年の研究では、歯周病が心筋梗塞・脳梗塞・糖尿病などの全身疾患と深く関係していることがわかっています。歯周病菌が血流に乗って全身を巡ることで、動脈硬化を引き起こし、心臓や血管の病気を悪化させるリスクが高まるのです。つまり、歯石を取ることは、単なる口腔ケアではなく、全身の健康を守るための大切な習慣なのです。
「痛みがないから大丈夫」と思っていると、歯石はどんどん蓄積され、気づいたときには歯周病が進行していることも…。
定期的な歯石取りで、大切な歯と健康を守りましょう!
歯石を放置するリスク
歯石を放置すると、口臭や見た目の悪化だけでなく、むし歯や歯周病のリスクが増大します。特に歯石は表面がザラザラしているため、歯垢や細菌が付きやすくなるという悪循環が生まれます。また、歯石の中の細菌が原因で歯茎が炎症を起こし、歯周病が進行すると、最終的には歯を失う危険性もあります。
歯石除去後の注意点
歯石を取った直後は歯の表面が汚れやすくなっています。以下の点に注意しましょう。
1. 飲食のタイミング
歯石除去後30分ほどは飲食を控えましょう。特にコーヒーやお茶などは歯にステインが付きやすくなります。
2. 適切な歯磨き
歯石除去後は、ペリクルと呼ばれる唾液由来の保護膜が一時的に剥がれているため、汚れが付きやすくなります。丁寧な歯磨きを心がけましょう。
歯石がつきにくくする方法
歯石は一度ついてしまうと歯磨きでは取れず、歯科医院でのクリーニング(スケーリング)が必要になります。しかし、そもそも 歯石ができにくい状態 を保てば、定期的な歯石取りの負担も減り、歯と歯茎の健康を長く維持できます。ここでは、歯石をつきにくくするための方法をご紹介します。
① 正しい歯磨きをする
歯石は、歯垢(プラーク)が唾液のカルシウム成分と結びついて硬化することでできます。つまり、歯垢をしっかり取り除けば、歯石になるのを防ぐことが可能です。
歯石を防ぐ正しい歯磨きのポイント
歯と歯茎の境目を意識して磨く
45度の角度で歯ブラシを当て、歯周ポケットまで丁寧に
電動歯ブラシを活用すると、より効果的
しっかり磨いているつもりでも、磨き残しがあることが多いので、歯垢染め出し液を使ってチェックするのもおすすめです。
② デンタルフロス・歯間ブラシを使う
歯と歯の間の汚れは、歯ブラシだけでは落とせない!
歯ブラシの届かない歯と歯の隙間に歯垢が残ると、そこから歯石ができやすくなります。
取り入れたいケア
歯間が広い人 → 歯間ブラシ
フロスや歯間ブラシの使用頻度は、1日1回が理想!
特に夜寝る前に使うと、睡眠中の細菌の繁殖を抑えられます。
③ うがい・マウスウォッシュを活用
歯磨きの後にうがいをするだけでも、口の中の細菌を減らし、歯石のもととなるプラークを抑えられます。
おすすめのうがい方法
殺菌成分入りのマウスウォッシュを使う(歯垢の形成を防ぐ)
就寝前に使用すると効果UP(細菌が繁殖しやすい夜間の対策)
ただし、マウスウォッシュだけでは歯石を防げないので、歯磨き+フロスと併用することが重要です。
④ 唾液をしっかり分泌させる
唾液には、歯石のもとになる歯垢を洗い流す働きがあります。
しかし、加齢やストレス、口呼吸の影響で唾液の分泌が減ると、歯石がつきやすくなります。
唾液を増やす方法
口呼吸をやめ、鼻呼吸を意識する
水分補給をこまめにする(特に寝起きに水を飲む)
舌のストレッチをする(舌を上下左右に動かす)
特に 「ガムを噛む」 のは手軽にできておすすめです。キシリトール入りのガムを選ぶと、虫歯予防効果も期待できます。
⑤ 食生活を見直す
糖質が多い食事は、歯垢を増やし、結果的に歯石ができやすくなります。
また、酸が強い食べ物・飲み物を摂りすぎると、歯の表面が傷つき、細菌が付きやすくなります。
歯石を防ぐために意識したい食事
控えたいもの
炭酸飲料・酢の物の摂りすぎ(酸が歯を溶かす)
スナック菓子(歯にこびりつきやすい)
積極的に摂りたいもの
食物繊維が豊富な野菜(噛むことで唾液が出やすくなる)
緑茶(カテキンが抗菌作用を持つ)
食後に水を飲む・お茶を飲むだけでも、口内を洗浄する効果があるので、習慣にすると良いでしょう。
⑥ 定期的に歯科検診を受ける
どんなに丁寧にケアをしても、100%歯垢を落とすことは不可能です。
定期的に歯科検診を受けることで、セルフケアでは落とせない歯石を取り除き、歯周病のリスクを減らすことができます。
理想の歯科検診の頻度
歯石除去(スケーリング)+歯のクリーニング(PMTC)を受ける
「歯が痛くなってから行く」のではなく、「痛くなる前にケアする」のが大事!早めにチェックすることで、虫歯や歯周病を未然に防ぐことができます。
歯科医院での定期健診の重要性

歯石除去は、単に歯を綺麗にするだけでなく、定期的な通院を通じて口の中の状況を把握し、早期発見・早期治療に繋げることができます。歯科医院での定期健診を継続することで、自分では気づけない問題点を見つけることができ、長期的な口腔健康を維持するために役立ちます。
まとめ
歯石取りの頻度はお口の中の状態によってケースバイケースです。一度歯科の定期健診を受けてみると、次回は何か月後に予約を取れば良いのかがわかります。
定期的なクリーニングを通じて、むし歯や歯周病の予防、口腔内の清潔維持を心がけましょう。自身に合った最適な頻度を歯科医師と相談し、健康な歯を保つための習慣を身につけてください。