
「あれ?何かおかしい…」
親知らずを抜いて数日経ったのに、痛みがどんどん強くなっていく。ズキズキ、ジンジンと、骨に響くような感覚。痛み止めもあまり効かない気がするし、何かがおかしい…。
もし、あなたが今そんな状況なら、それは 「ドライソケット」 かもしれません。
ドライソケットとは、抜歯後にできるはずの血の塊(血餅)がうまくできず、むき出しになった骨が刺激されて強い痛みを引き起こす状態です。親知らずを抜いた後、2~3日経ってから痛みが増してきた場合は、要注意。
「こんなに痛いなんて聞いてなかった…」
「このまま放っておいて大丈夫なの?」
「また歯医者に行くべき?でももう抜歯したし…」
そんな不安でいっぱいになっているかもしれませんね。大丈夫。あなただけではありません。ドライソケットは抜歯後の合併症の中でも意外とよくあるトラブルなのです。
でも、放っておくと長引いてしまうことも。適切な対処をすれば、痛みを和らげ、早く回復することができます。
このコラムでは、 ドライソケットになってしまったときの対処法 や 痛みを和らげるためのケア について、わかりやすくお伝えします。
それでは、一緒に見ていきましょう。
ドライソケットとは?
ドライソケット(Dry Socket) は、抜歯後の傷口の治癒過程に問題が生じ、強い痛みを引き起こす状態 のことを指します。正式には 抜歯窩治癒不全 とも呼ばれ、特に 親知らずの抜歯後 に起こりやすい合併症の一つです。
通常の抜歯後の治癒過程とドライソケットの違い
通常の治癒
- 血餅(けっぺい)が形成される
抜歯後の穴(抜歯窩)には血がたまり、「血餅(けっぺい)」と呼ばれる血の塊ができます。
⬇ - 血餅が保護膜の役割を果たす
血餅は「天然のバリア」として、むき出しになった骨や神経を保護しながら、傷口をふさぎ、治癒を促します。
⬇ - 組織が再生し、痛みが減っていく
徐々に歯肉や骨が回復し、数日~1週間ほどで痛みが和らいでいきます。
親知らず抜歯後にドライソケットが発生する原因
ドライソケットの原因としては以下が考えられます。
- 血餅の形成不全・・血餅が正しく作られなかった場合に、傷口が保護されずにドライソケットが発生します。
- 血餅の早期喪失・・うがいにより血餅が失われることがあります。
- 口腔衛生の不備・・適切な口腔ケアがされないと、感染リスクが高まり、ドライソケットが発生しやすくなります。
ドライソケットの原因
血餅が取れてしまう要因
- うがいのしすぎ(強いうがいで血餅が洗い流される)
- ストローで飲み物を飲む(吸引圧で血餅が剥がれる)
- 喫煙(血流が悪くなり、血餅が形成されにくい)
- 舌や指で傷口を触る(無意識にいじることで血餅が剥がれる)
- ドライマウス(口が乾燥しやすいと血餅が安定しにくい)
血餅がそもそも作られにくい要因
- 親知らずの抜歯(奥歯で血流が悪く、ドライソケットが起こりやすい)
- 難しい抜歯(埋伏歯の抜歯など)(傷口が大きく、血餅が安定しにくい)
- 抜歯後の感染(細菌が増えると血餅が分解されやすい)
- 血液が固まりにくい体質・疾患(糖尿病・血液サラサラの薬を飲んでいる など)
ドライソケットの症状
ドライソケットの主な症状は以下の通りです。
- 強い痛み・・抜歯後2~3日以内に強い痛みが発生します。痛みは鎮痛剤が効かないことが多いため、歯科での早めの処置が必要です。
- 悪臭・・口臭が強くなることがあります。
- 露出した骨・・骨が見えることがあります。
- 腫れや炎症・・周囲の歯茎や顔の腫れ、炎症が見られることがあります。
こんな症状があればドライソケットかも?
- 抜歯後 2~3日経ってから 痛みがひどくなった
- ズキズキ・ジンジン する激しい痛みが続く
- 痛みが 顎や耳の方にまで響く こともある
- 痛み止めが効かない、飲んでもすぐ痛くなる
- 口臭が強くなる(細菌の影響で悪臭がすることも)
- 傷口を覗くと穴がぽっかり開いている(血餅がなく、骨が露出している)
ドライソケットになったらどうすればいい?
まずはすぐに歯医者へ!
放っておくと治癒が遅れ、1~2週間も痛みが続くこともあります。歯科医院では以下の治療を行います。
- 傷口の洗浄・消毒
→ 細菌を減らして感染を防ぐ - 鎮痛剤や抗生物質の処方
→ 痛みを和らげ、炎症を抑える - 保護剤を塗る・詰める
→ むき出しの骨や神経を覆い、痛みを軽減
ドライソケットの治療方法
ドライソケットの治療は、痛みの緩和と傷口の保護を目的として行われます。
- 鎮痛剤の使用・・処方された鎮痛剤を使用し、痛みを和らげます。
- 薬剤の適用・・ドライソケットは感染を起こしていることが多いので、抗生物質も処方されます。抗生物質は途中で飲むのをやめないよう、きちんと飲み切りましょう。
- 抜歯した穴をもう一度出血させる・・麻酔をして抜歯した穴を少しひっかくようにしてもう一度出血させることで、新しい血餅を作ります。
ドライソケットの予防方法
ドライソケットを予防するための方法は以下の通りです。
- 喫煙を避ける・・喫煙は血餅の形成を妨げるため、抜歯後少なくとも48時間は禁煙をおすすめします。
- うがいを控える・・激しいうがいや口を強くすすぐことは避け、優しく口を洗う程度にとどめましょう。
- 指示に従う・・歯科医の指示に従い、処方された薬やアフターケアを確実に行いましょう。
- 口腔衛生の維持・・抜歯後も優しく歯磨きを続け、口腔内を清潔に保ちます。
ドライソケットが発生した場合の注意点
ドライソケットが発生した場合、適切な対処と注意が必要です。
1. 早めの歯科医の診察
- 早期の診察・・強い痛みや悪臭、露出した骨などのドライソケットの兆候を感じたら、すぐに歯科医を受診することが重要です。早期の診断と治療が回復を早めます。
- 定期的な診察・・治療後も歯科医の指示に従い、定期的な診察を受けて傷口の状態を確認します。
2. 口腔衛生の徹底
- 柔らかい歯ブラシの使用・・柔らかい歯ブラシを使って、優しく歯を磨きます。傷口にはブラシを当てないよう特に慎重にケアします。
- 指示されたうがい薬の使用・・歯科医から処方されたうがい薬や洗浄液を使用し、口腔内を清潔に保ちます。抜歯の傷の部分はあまり洗わないようにします。
- 食後の口腔ケア・・傷が落ち着くまでは抜歯と逆サイドの奥歯で噛むようにし、食事の後は必ず口をゆすいで、食べ物の残りかすを取り除きます。
3. 生活習慣の見直し
- 禁煙・・喫煙は血餅の形成を妨げ、治癒を遅らせるため、抜歯後少なくとも48時間は禁煙を心掛けます。
- アルコール摂取の制限・・アルコールは口腔内を乾燥させ、治癒を遅らせる可能性があるため、摂取を控えます。
- 適切な食事・・硬い食べ物や刺激物を避け、柔らかく栄養バランスの取れた食事を心掛けます。例えば、スープ、ヨーグルト、柔らかい野菜などが適しています。
4. 適切な痛みの管理
- 鎮痛剤の適切な使用・・歯科医から処方された鎮痛剤を指示通りに使用し、痛みを管理します。過剰な使用や自己判断での服用は避けましょう。
- 冷湿布の使用・・痛みや腫れを和らげるため、冷湿布を頬に当てることが有効です。ただし、直接氷を当てるのではなく、タオルに包んで使用します。
5. 物理的な刺激の回避
- 過度なうがいやすすぎをしない・・強いうがいや口を強くすすぐことは、血餅を取り除く可能性があるため避けます。
- 口の開閉を慎重に行う・・大きな口を開ける動作は傷口に負担をかけるため、慎重に行います。
- スポーツや重労働の制限・・激しい運動や重労働は一時的に避け、身体を安静に保ちます。
6. 感染予防
- 清潔な環境を保つ・・口腔内を清潔に保つため、歯ブラシやうがい用のコップなどを常に清潔に保ちます。
- 手洗いの徹底・・お口のケアを行う前には必ず手を洗い、清潔を保ちます。
自宅でできるケア
- 口を強くゆすがない(うがいはやさしく)
- 傷口を触らない(舌や指でいじらない)
- 喫煙・飲酒を控える(血流を悪くしないため)
- 水分をしっかり摂る(口の乾燥を防ぐ)
- 柔らかい食事を心がける(刺激の少ないものを食べる)
まとめ
→ 抜歯後、血餅がうまく形成されず 骨や神経がむき出しになり、強い痛みを引き起こす状態 のこと。
→ うがいのしすぎ、喫煙、舌で触る、親知らずの抜歯などで 血餅が取れてしまう ことが主な原因。
→ ズキズキ・ジンジンする強い痛み、痛み止めが効きにくい、口臭が強くなる。
→ 歯医者での治療が必須! 傷口の洗浄・保護処置を受ける。
→ 自宅ケア では、うがいを控え、傷口を触らない、禁煙・禁酒などを心がける。
ドライソケットは 適切な治療とセルフケアを行えば、早く回復できる ものです。「抜歯後、痛みが強くなってきた」と感じたら、早めに歯科医院を受診しましょう!
ドライソケットは非常に痛みを伴う状態ですが、適切な予防と治療で症状を和らげることが可能です。親知らずの抜歯後は特に注意が必要ですので、しっかりとケアを行いましょう。
もしドライソケットが発生した場合は、出来るだけ早い対応と適切なケアが必要です。歯科医の指示に従って症状の悪化を防ぎながら、早期の回復を目指しましょう。