
「ガム、食べたいなぁ…」
そんなふうに、ふと呟いたことはありませんか?
昔は当たり前のように噛んでいたガムやグミ。でも、入れ歯をつけるようになってから、「もう食べられないんじゃないか」と、自然と避けてしまっている方も多いと思います。スーパーやコンビニでガムの棚を通り過ぎるたびに、寂しい気分になられているかもしれません。
実際、入れ歯とガムの相性はどうなのか? 本当に食べちゃダメなのか?
「またあの噛み心地を楽しみたい」と思うあなたのために、今日はその疑問にしっかりと向き合ってみましょう。
ガムやグミの特徴と入れ歯への影響
ガムやグミの特徴と入れ歯への影響について説明します。
ガムの特徴と入れ歯に与える影響
ガムは弾力性があり、長時間噛むことを前提とした食品です。一般的に、以下の特徴があります。
- 粘着性が高い → 噛んでいるうちに歯や入れ歯にくっつきやすい。
- 弾力がある → 長時間噛み続けることで、顎の筋肉を使い続ける。
- 唾液の分泌を促す → 口腔内の潤いを保つのに役立つ。
入れ歯への影響
- 粘着性が高いため、入れ歯にくっつく可能性がある
→ 特に総入れ歯の方は、ガムがくっついて外れやすくなることがある。 - 入れ歯が浮いたり、ズレたりする原因になる
→ 噛む力が均等にかからないと、入れ歯の安定性が損なわれる。 - 部分入れ歯の金具に引っかかることがある
→ ガムがフック部分に絡みつき、外れやすくなることがある。
ガムは噛み続けると粘着性が出てくる食べ物です。粘着力により義歯が不安定になりやすく外れてしまうトラブルになることがあります。また、義歯の床の部分にガムが接着して取れにくくなります。糖を含有するガムが義歯に接着すると、口腔内の細菌の住処となり、他の残存歯や歯肉に細菌感染(虫歯や歯周病)を引き起こす原因になる場合があります。
グミの特徴と入れ歯に与える影響
ミは果汁やゼラチンを使った弾力のある菓子で、以下の特徴があります。
- 硬めのものと柔らかいものがある → 商品によって食感が異なる。
- 弾力があり、歯に絡みやすい → 強く噛む必要があるため、歯に負担をかける。
- 粘着性がある → 歯の間や入れ歯の隙間に入り込むことがある。
入れ歯への影響
- 硬めのグミは入れ歯に強い負担をかける
→ 強く噛むと入れ歯が浮いたり、破損の原因になることもある。 - 歯にくっつきやすく、清掃が大変
→ 入れ歯の隙間に入り込み、洗浄がしにくい場合がある。 - 部分入れ歯の金具を傷める可能性
→ グミの粘着力で金具が歪んだり、食べている最中に外れることも。
グミは噛みごたえが特徴です。上下の歯で噛み切る必要があるため圧力が働き、過度な負担をかけることがあります。最近では硬さを特徴としたグミも多く、咬合により、入れ歯を傷つけたり、破損させるリスクがあります。
ガムやグミを食べたい際の注意点
「どうしてもガムやグミを少しでも食べたい」という場合、注意点がいくつかあります。
ガムやグミを食べる前の注意点
ガムやグミを買う際、無糖のガムや柔らかいグミを選べば、入れ歯に対する負担を軽減できます。また、小さく切り分けておけば噛む時の負担を減らすことができます。
- 「ノンステック(くっつかない)」タイプのガムを選ぶ
→ 市販の「歯につきにくいガム」を選ぶと、入れ歯が外れにくくなる。 - 柔らかめのグミを選ぶ
→ 固すぎると入れ歯に負担がかかるので、ソフトグミを選ぶと安心。 - 小さくカットして食べる
→ 一口サイズにして、負担を減らす。 - 入れ歯安定剤を使用する
→ 入れ歯をしっかり固定することで、ズレを防ぐ。 - 食後のケアをしっかり行う
→ 入れ歯専用のブラシや洗浄剤で、食べ物の残りをしっかり除去する。
ガムやグミを食べる時の注意点
口の中でガムやグミを溶かすようにして、唾液を分泌して噛む回数を減らしてあげましょう。入れ歯が動かないように思いっきり噛むのではなく、ゆっくりと慎重に噛むことが大切です。
入れ歯の種類による影響の違いはあるの?
- 総入れ歯
→ ガムやグミの粘着力で外れやすくなる。特にガムは避けたほうが良い。 - 部分入れ歯
→ 金具部分に引っかかりやすいが、比較的安定している場合もある。 - インプラントや固定式の入れ歯
→ 比較的しっかり固定されているため、影響は少ないが、粘着性の高い食品は詰まりやすい。
入れ歯での食事の基本
歯が無くなり歯肉のみになった部分を、顎堤(がくてい)や歯槽堤(しそうてい)と呼び、そこに義歯を装着して食べ物を噛みます。入れ歯(義歯)の装着により食べてはいけないという食材はありませんが、装着し始めたばかりの不慣れな方や、定期的な調整をきちんと行っていない方は、顎堤や義歯に過度の負担をかけないように、硬い食べ物や粘着性のある食べ物を控え、柔らかい食べ物を中心とした食生活をおすすめします。食べ物を小さく切り、両側の奥歯で均等に噛むことで入れ歯が安定します。
入れ歯に優しい食べ物とは
ヨーグルトやプリン、柔らかいフルーツ(バナナ)など、あまり噛まなくても栄養がある入れ歯に優しいおやつを選びましょう。蒸しパンや柔らかいクッキーもおすすめです。ただし、おやつだけで体の健康維持は務まりません。野菜スープや煮込み料理など、栄養バランスの取れた食事を心がけたり、さまざまな食品を取り入れて、栄養不足を防ぎましょう。
入れ歯の種類と特徴
むし歯や歯周病、外傷などにより歯を失った方の欠損部分を補うために人工の歯を入れる治療が入れ歯治療です。部分入れ歯と総入れ歯の2種類があり、それぞれに特徴と注意点があります。部分入れ歯は残っている歯(残存歯)にバネをかけて固定します。総入れ歯は歯肉や歯も人工で作製されたものを、唾液を介する吸着力で装着します。
保険適用の入れ歯、自由診療の入れ歯など種類は多いです。保険適用の入れ歯は安いというメリットがありますが、分厚くて審美性や安定さに欠け、違和感を伴うことが多いです。反対に自由診療の入れ歯は費用は高いですが、材料の選択肢が多く丈夫な構造にするため金属を使用して薄く作製でき、見た目が良い入れ歯を作製できます。
食べた後には必ず入れ歯の手入れを!
入れ歯の手入れを日常的に行うことがとても大切です。毎食後、入れ歯を取り外して洗浄し、食べ物の残りカスを取り除きましょう。そして専用の入れ歯洗浄剤を使用し、入れ歯を清潔に保ちます。もちろん、食後の歯磨きを行うことも忘れないでください。
定期的な調整とメンテナンス
入れ歯は定期的に歯科医院で調整してもらうことが重要です。適切なフィット感を維持するためには、がたつきや不安定さが無いかなど定期健診で口腔状態を確認してもらいましょう。吸着力を保ち、清掃性を高める意味合いでも、お口のクリーニングと調整はとても大切です。
まとめ

- ガムは入れ歯にくっつきやすく、外れやすいので注意が必要。
- グミは硬いものは避け、できるだけ柔らかいものを選ぶ。
- 総入れ歯の方は特に気をつけるべきだが、部分入れ歯の方も金具部分に注意が必要。
- どうしても食べたい場合は、ノンステックガムや柔らかいグミ、小さく切るなどの工夫をすると安心。
入れ歯を使用している場合でも、ガムやグミを楽しむことは可能ではあります。ただし、注意点を守ることと、入れ歯を快適に保つためには、毎日のケアや定期的なメンテナンスを怠らず、歯科医師と相談しながら進めることが大切です。バランスの取れた食生活を心がけながら、日常生活を楽しんでください。