矯正歯科

インビザラインは後悔するの?


「インビザライン 後悔」と調べる人が多いと、インビザライン治療に興味がある方にとっては、不安材料です。インビザラインで後悔する原因は何なのか、インビザラインで後悔しないためにはどうすればよいのかについて詳しくご紹介いたします。

インビザラインとは

インビザラインは、アメリカのアライン・テクノロジー社が1999年に発表したマウスピース型矯正装置です。現在、世界100ヶ国以上で提供され、数あるマウスピース矯正の中でも信頼性が高いとされています。透明なマウスピースを装着して歯並びを整えていく矯正治療は目立ちにくく、見た目やライフスタイルに配慮したい大人に人気です。治療段階に応じて約2週間くらいでマウスピースを交換しますが、通院は1~2か月に1回で、動的治療後はリテーナーと呼ばれる保定装置を1~2年間装着して静的治療を行い、終了となります。

インビザラインの治療の流れ

  1. カウンセリングを受診する
  2. インビザラインを行うとなれば精密検査を受ける
  3. 口腔内の3次元データを取ってもらう
  4. 3次元シミュレーションを行い治療計画を立ててもらい説明を受ける
  5. 医院にマウスピースが届き、取り外しのやり方を説明してもらう
  6. マウスピース(アライナー)の装着を開始する
  7. マウスピースを変えながら歯の動きを確認し治療を進める
  8. リテーナーを1~2年装着して歯を固定する

インビザライン治療では、まず口腔内の検査や3次元データの取得を行います。当院では型取り材を歯に装着して固まるまで待つ型取りではなく、iTeroという光による3Dスキャナーを使用するため、嘔吐反射が強い方でも問題なく採取できます。アライン・テクノロジー社に3次元データの歯型を送付するとデータに沿ったマウスピースが20個から40個届きます。iTeroのシミュレーターを使用すると、治療中の歯の動きや治療後の歯並びをシミュレーションできます。

インビザラインのメリット

では、インビザラインのメリットについてご紹介します。

透明なマウスピースで装着しても気づかれにくい

インビザラインの矯正は、マウスピースで透明で薄いということが特徴です。患者さんご自身の歯に薄く装着できる設計であることから、ワイヤー矯正と比べて目立ちにくいというメリットがあります。

食事や歯磨きの際は取り外せる

食事や歯磨きの際に外せる矯正装置というのもメリットです。取り外し後に、制限なく飲食や歯磨きができます。ワイヤー矯正はご自身で取り外すことができないため、飲食に制限があり、歯磨きもワイヤー矯正用のケアをして頂く必要があります。

痛みや違和感が比較的少ない

インビザラインは型取りを行い、患者さんの歯並びに合ったマウスピースを作製します。最初はマウスピースの装着による違和感を感じる方がおられるかもしれませんが、痛みや違和感を感じないという方もおられます。ワイヤー矯正と異なり、マウスピースは徐々に歯を動かしていきます。1枚あたり0.25mm歯を動かすので、ワイヤーより痛みを感じる方が少ないのです。

治療期間の目安が分かる

インビザラインの場合は、治療前にシミュレーションで歯の動きが分かります。もちろんワイヤー矯正でも歯の動き方について説明してもらえますが、患者さんから見て分かりやすいことから、治療のゴールが明確です。

お口の中が傷つく心配が少ない

ワイヤーやブラケットを歯に付けるワイヤー矯正では、唇や粘膜に傷を負うことがあります。マウスピースの材料はポリウレタンという合成樹脂で、柔軟性があるため、装着時に転んだ場合でもお口を傷つける可能性は低いです。

金属アレルギーの心配がない

アライナーのポリウレタンはメタルフリーで生体親和性が高い合成樹脂です。また、インビザライン治療で使用する可能性があるアタッチメント(歯に付着する突起)も、樹脂を使用します。金属アレルギーの方も安心して装着できます。

インビザラインで後悔する人が抱えやすい悩み

さて、メリットに目がいきがちですが、インビザライン治療を始めてから後悔するケースもあります。デメリットになることを含めて詳しくご説明します。

歯が前より出た

歯が前後にガタガタする歯並びを叢生(そうせい)と呼びますが、叢生の方や八重歯などを治療した方に起きがちです。歯並びは綺麗になったのに、歯が前に出る出っ歯になってしまうケースです。原因として考えられるのは、歯の動くスペースを充分に確保せずに行ってしまった場合です。歯を動かすスペース作りとして、抜歯、数本の歯のエナメル質を削るIPR(ストリッピングとも呼ぶ)、歯を奥へ動かすという前段階が必要ですが、それを怠るとこのような状態になります。

歯列矯正の知識がなく噛み合わせが悪くなった

  • 奥歯(臼歯)が正しく噛み合っている
  • 歯のねじれ及び歯と歯の間に隙間がない
  • 正中が一致している
  • 上顎と下顎がオーバージェット及びオーバーバイトである
  • 1歯対2歯咬合になっている

このような理想の噛み合わせに近づくよう、矯正治療は行います。ただし、インビザライン治療は矯正を専門に学んでいない歯科医師でも、手続きを踏めば開始できる治療です。そのため、歯の動かし方や噛み合わせへの知識がない歯科医師も治療を行え、軽度な部分矯正であればたまたま成功するかもしれませんが、中程度以上の不正咬合の治療を行うと、噛み合わせを悪くする可能性があります。

ブラックトライアングルになった

歯と歯の隙間と歯茎で囲まれた部分に大きい隙間が空いた場合、ブラックトライアングルと一般的に呼ばれますが、専門的に歯下部鼓形空隙(こけいくうげき)と呼びます。ガタガタの歯並びのまま大人になった場合、歯と歯の重なっている部分の歯槽骨が少し薄くなっています。そのため、歯列矯正をして歯並びは綺麗になっても、歯の骨の状態は変わらないため、歯茎が退縮し、下部鼓形空隙となることがあります。ブラックトライアングルになりそうな患者さんには早めにお伝えし、患者さんも納得の上で治療をすることが大切です。

歯の削る量が多かった

歯を動かすために、歯と歯の間のエナメル質を痛みが出ない程度に削る処置をストリッピングやIPRと呼びます。0.5mmより少なく削りますが、その際に歯の大きさや形をとても気にしている人であれば不満が起きるかもしれません。また、削ったことにより痛みが出ると、知覚過敏のような症状になるため、象牙質知覚過敏用の薬を外側から塗る必要があります。歯を削らなければ、矯正を行わなければよかったと思うかもしれません。

歯根吸収された

歯列矯正は、歯に力をかけて歯の位置を動かして、骨の吸収と再生を起こしている状態です。特に問題がなければ吸収と再生がいいバランスで行われますが、歯に強い力をかけてしまうと、再生が間に合わなくなり、歯根吸収となります。歯根吸収されると、歯の長さが短くなりどうしても長期的な歯の健康が危ぶまれることが考えられます。

後戻りを起こした

後戻りとは歯が綺麗に並んだのに、元の位置に戻ろうとしたり、歯の咬合力により、元の状態に戻ることを指します。歯の位置を動かすために骨が不安定であり、歯列矯正にとっては最も起こりやすいリスクとされます。後戻りを阻止するためには、リテーナーという保定装置を歯に装着して位置を固定することです。インビザラインの場合はマウスピース型のリテーナーになり、装着時間を怠るとどうしても後戻りのリスクが高まるので注意しましょう。

理想の歯並びになっていない

これで治療が終わりとなっても、患者さんが納得できないということはあります。

  • 少しだけ歯が重なっている
  • 少しだけ歯と歯の間が空いている

インビザラインの最終調整は特に難しいことが多く、歯科医師の治療経験や知識により左右されます。インビザラインのみではなく、ワイヤーを使用して微調整を提案される場合がありますので覚えておきましょう。

インビザラインが合わない人・失敗する人

インビザラインが合わない、もしくは失敗する人はどんな人でしょうか。

虫歯や歯周病があるのに矯正治療を先に始める人

虫歯や歯周病は先に治療を行わなければ、インビザラインをおすすめできません。被せ物や詰め物、歯周病治療をした際に口腔内の形が変化するため、先に矯正治療をすると、マウスピースの形が合わなくなる可能性があるからです。また、歯の健康にも良くないため、矯正治療より先に虫歯及び歯周病治療を行いましょう。

埋伏歯がある人

埋伏歯とは、歯茎の中に埋まっている歯です。埋伏歯があると、インビザラインで歯を動かす際にどうしても動かせない部分ができてしまいます。必ず埋伏歯は抜くようにしましょう。

インプラントがある人

インプラントは顎の骨と結合させている人工歯根です。それは矯正治療で動かすことは出来ないため、インプラントの周囲の歯は動かせないと覚えておきましょう。

重度の不正咬合がある人

重度の受け口や出っ歯、叢生、過蓋咬合であると、歯に原因があるケースより、骨格に原因があることが多いです。骨格に原因がある場合、インビザラインで治療するより他の外科矯正などを検討したほうが良いこともあります。

間食が多い人

インビザライン治療は最低20時間以上の装着により歯を動かせます。おやつをちょこちょこ食べる人、コーヒーや水以外の飲み物をよく飲む人はその度に矯正器具を外さなければなりません。インビザライン治療には合わないと思われます。

発音や発声が重要な職業の人

プレゼンテーションや会議がよくある方、人前で話すことが多い場合、どうしてもマウスピース装着による発音や発声が滑らかでないため、外してしまいます。24時間のうち20時間つけなければならないため、その場合は裏側矯正やセラミック治療をおすすめします。

楽器やスポーツなど趣味がある人

人と接触するスポーツや楽器を吹く方は、マウスピースを外すことがあります。部活動などで大きい大会がある場合は、練習に時間を割くこともあると思います。どうしてもこの時間は外すことがあるなど、担当医に相談のうえ、治療時期や治療方法を決めましょう。

定期通院ができない人

インビザラインで歯が動いているか、他の歯にトラブルが起きていないかなど歯科医師がチェックする必要性があります。そのため、1~2ヶ月に一回定期的に通院ができない方は、インビザラインや矯正治療ではない、セラミックや他の方法を模索しましょう。

歯磨きできない・矯正器具を清潔に保てない人

歯磨きをどうしても怠りがちの人や、矯正器具を綺麗に掃除できない人はインビザライン治療に向きません。子供の場合は、保護者が仕上げ磨きで清潔に保ってあげ、矯正器具を付けるよう習慣にしてあげましょう。

後悔しないために知っておくべき対策と選び方

後悔しないためには、こちらのポイントを押さえた歯科医院を選びましょう。

1.インビザラインの症例が豊富で矯正装置取り扱いの種類が多い歯科医院を選ぶ

インビザラインの治療は、先述したように治療経験や症例が多いクリニックがマストです。専門的な知識がなければ審美的に機能的に改善することが難しいからです。インビザラインのみではなく他の矯正装置も取り扱いがあるところを選んだ方が良いのは、他の矯正治療が向いている場合、また一から医院探しを行わなければなりません。インビザラインやワイヤーも症例が豊富な医院の方が、スムーズに治療をすることができます。

2.矯正治療中の決まりを守るようにする

担当医から、装着時間について指定があった場合はその時間を守りましょう。少しだけいいやとさぼってしまうと、歯の動きがシミュレーションと異なり、再度アライナー作製を行わなければならなくなります。費用や期間も延びてしまう為、矯正治療中のケアや装着などについての決まりは守りましょう。

3.口腔内を常に清潔に保つ

お口を清潔に保てなければ矯正器具を歯に被せるため、どうしても細菌感染が起こりやすくなります。必ず食後には歯磨きを行いましょう。

4.歯科医師やスタッフとコミュニケーションをとる

疑問や質問があるけれど、押し切られてなんとなくインビザライン矯正を行うと後悔します。しっかりコミュニケーションを取り、納得してから治療を開始しましょう。

5.リテーナーの装着を途中でやめない

リテーナーの装着は、どうしても歯が綺麗になるといいやとさぼってしまう方がおられます。歯を動かした時間分のみ、歯を固定する時間が必要だと考え、担当医からOKがでるまでリテーナー装着はやめないようにしましょう。

まとめ

「インビザライン 後悔」で検索する人が多いのは、始める前に知っておくべき情報が多いこと、実際にやってみてイメージと違うという声があるからです。でも、それは失敗しやすいポイントがはっきりしているとも言えます。装着時間を守ること、ご自身の生活スタイルに合っているか見極めること、経験豊富な歯科医師を選ぶことをすれば、インビザラインは後悔しにくく、満足度の高い治療となります。まずは信頼できる歯科医院での相談から始め、後悔しない矯正生活の第一歩はそこからです。

この記事の監修者
医療法人真摯会 高槻クローバー歯科
院長 髙野 祐

2013年 岡山大学 歯学部卒業。2014年 岡山大学病院臨床研修終了

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高槻クローバー歯科

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