大人は何本の歯をもっているのでしょうか? 歯の構造や働き、歯の健康についてご説明します。
目次
大人の歯は32本。永久歯の並び方
大人の歯のことを永久歯といいます。上下顎の32本の永久歯には、8本の切歯、4本の犬歯、8本の小臼歯、12本の大臼歯があります。12本の大臼歯のうち、4本は親知らずです。
乳歯から永久歯への生え変わりは、一般的に6歳~12歳頃に行われます。その後は永久歯を一生使っていくことになります。親知らずの生えてくる位置が悪い場合や、他の歯に悪影響がある場合は、親知らずの抜歯を行います。
上顎の永久歯について
上顎にある4本の切歯と4本の犬歯は、食べ物を噛み切るためのものです。犬歯は先が鋭く尖っているのが特徴です。小臼歯と大臼歯は、食べ物を小さくすり潰すためのもので、特に大臼歯は咬合面が大きく(広く)、食べ物を粉砕して安全に飲み込めるようにするのに最適な形になっています。
下顎の永久歯について
下の歯にも切歯、犬歯、小臼歯、大臼歯があり、上の歯とほぼ同じ役割をしています。小臼歯は犬歯と大臼歯の間にあり、食べ物を噛み切る犬歯の役割を補佐しながら、大臼歯の噛み砕く役割も担っています。
親知らずについて
歯が過密に並んでいて、親知らずの生えるスペースがない場合は、親知らずを抜歯します。抜歯せずに放っておくと、過密状態の中で無理矢理親知らずが生えてきますので、歯が重なって歯磨きできない部分ができ、親知らずと第二大臼歯の間が虫歯や歯周病になったり、歯並びがずれてくるといったリスクが高まります。
親知らずはできれば早めに抜いた方が、歯周組織がやわらかく、抜歯を簡単に行うことができます。
歯の構造。歯はエナメル質、象牙質、歯髄から出来ている
歯は3つの主要な層から出来ており、それは「エナメル質」「象牙質」「歯髄」です。一番外側のエナメル質は人体で最も硬い組織で、物を噛むという目的以外に外傷からお口や喉を守ってくれます。
第2層は象牙質で歯の大部分を占めており、歯髄と繋がる象牙細管と呼ばれる小さな管で構成されています。表層のエナメル質は半透明ですので、一人ひとりの歯の色は象牙質の色で決まります。
第3層は歯髄で、毛細血液と神経組織で構成されています。歯の神経と呼ばれているのは歯髄のことです。毛細血管は歯に栄養と酸素を供給しますので、神経を取ると歯に栄養や酸素が行かなくなってしまうため、歯が弱ってしまいます。
歯の構造はとても複雑だということがおわかりいただけたでしょうか?
乳歯から永久歯への生え変わりについて
乳歯が全て生え揃ったとき、子供たちのお口の中には下顎に10本、上顎に10本の合計20本の歯があります。乳歯が生えた後、歯周組織の内部では大人の歯(永久歯)が成長を始めます。永久歯は顎の骨の中で少しずつ大きくなり、乳歯を押し出す形で歯茎の上に姿を現します。
奥歯の生え替りは、永久歯が乳歯を真下から押す形で乳歯を押し出します。一方、前歯の生え変わりでは乳歯の内側(舌側)に生えてきて、永久歯を斜め上に押し上げます。そのため、一時的に前歯は乳歯と永久歯の2本が並列して生えている形になることが多いですが、ご心配には及びません。
子供の成長につれて乳歯は永久歯に生え変わり、やがて親知らずを除く32本の永久歯が生えそろいます。
永久歯が欠損していて生え変わらない場合
一部の方の中には、永久歯の1本~数本が生まれつき欠損していて、乳歯が永久歯に生え変わらないというケースがあります。その場合は、乳歯を抜歯してインプラントなどの治療を施すか、または乳歯がいよいよ抜けてしまうまではそのままにしておく場合があります。通常は、乳歯が傷んできた場合にのみ乳歯の抜歯を行います。
逆に歯の数が多い過剰歯の方もおられます。過剰歯によって他の永久歯が正常な位置に生えることが出来ない場合は、過剰歯を抜歯します。
永久歯を大切にケアしていきましょう
忙しい毎日の中でも、殆どの方が1日2回以上の歯磨きができています。少ない時間で効果的に歯磨きをするためには、フッ素化合の歯磨きを積極的に使いましょう。そして、デンタルフロスや歯間ブラシを使っていただくと、より歯垢が落としやすくなり、虫歯や歯周病のリスクを減らすことが出来ます。
歯磨きは歯や舌などのお口の中から食べかすや細菌を取り除きます。食べかすや歯垢や歯石、そしてその中に繁殖している虫歯菌や歯周病菌などの細菌は、口臭の原因にもなります。1日2回の歯磨きで口腔内を清潔に保ちましょう。
歯の健康の大敵は甘い飲み物
砂糖の入った炭酸飲料やその他の甘い飲み物は出来るだけ避けるようにしましょう。砂糖だけでなく、ソフトドリンクやダイエットソフトドリンクの中に含まれる酸は、歯のエナメル質を溶かしてしまいます。
エナメル質が傷つくと、虫歯を作ったり、汚れがたまりやすくなったりして、歯を内側へとどんどん浸食していきます。歯の健康のために、ソフトドリンクを制限しましょう。
大人の歯の構造や働きに関するQ&A
歯は「エナメル質」「象牙質」「歯髄」の3つの主要な層から成り立っています。
エナメル質は一番外側の層であり、最も硬い組織です。物を噛むだけでなく、外傷から口や喉を守る役割も持っています。
歯髄は歯の第3層であり、毛細血管と神経組織で構成されています。歯髄は歯の神経として知られており、毛細血管は歯に栄養と酸素を供給します。神経を取ると歯に栄養や酸素が行かなくなり、歯が弱ってしまうため、神経組織は重要な役割を果たしています。
まとめ
成人の歯は32本あり、親知らずを抜くと28本になります。毎日の歯磨きでは、歯ブラシだけでなくデンタルフロスも使うようにして、上下顎の全ての歯を健康に保ちましょう。3ヶ月に一度程度の歯医者での健康診断も忘れないようにしましょう。そして、歯に関する不安や気がかりな点は、お気軽に歯科医師やスタッフにお話し下さい。