虫歯がない、または虫歯の治療後、定期健診に行く必要はあるのでしょうか? すぐに治療が必要な歯がなくても、虫歯や歯周病のリスクを小さくするために年に数回の定期健診をおすすめします。
虫歯に強い人は歯周病に弱いって本当?
あまり丁寧に歯磨きをしていないのに虫歯にならない方がおられます。それには歯の質や唾液の質といった口腔内環境が関係していると思われます。
しかし、実は虫歯に強い、虫歯にならない方こそ、歯周病には気をつけていただきたいのです。というのは、虫歯になりやすい方はあまり歯周病にはならず、逆に虫歯になりにくい方は歯周病になりやすいという傾向があるからです。
虫歯に強い人はどうして歯周病に気を付けないといけないの?
虫歯と歯周病では、原因となる菌が違っているため、虫歯にかかりやすいことと歯周病にかかりやすいということは全く別の話なのです。しかも歯磨きを徹底して行っていないのに虫歯になりにくい方は、普段からご自身の歯が丈夫だと思っておられ、歯のケアに関しては油断しておられます。
歯と歯の間や、歯と歯ぐきの間の正しいデンタルケアを知らずにいた場合、シニアになってから急に歯周病が悪化して歯がグラグラし出したという患者さんもおられます。子どもの頃から虫歯がゼロだったのに、歯周病のために入れ歯になってしまう方もおられるのです。
歯周病も歯肉炎のうちに早期発見できれば、歯がグラグラする前に治療することが出来ます。大人になってからは、歯周病予防のために特に定期健診が重要です。
歯周病ってどんな病気?
歯周病は実はとても怖い病気です。人間の身体の中で一番硬いのは歯です。その歯を支えている骨が歯周病菌によって溶かされていって、最終的には歯が抜けてしまいます。
人間の身体に起こる病気の中で、他にこんな病気があるでしょうか? 骨が溶けていくなんて、怖いですよね?
歯周病は、歯と歯の間や歯と歯ぐきの間にたまった歯垢の中で細菌が繁殖して、歯ぐきに炎症が起こることから始まります。
初期段階の炎症は歯肉炎と呼ばれ、歯ぐきが赤くなって柔らかくなってきます。段々と出血が起こるようになり、同時に歯周ポケットも深くなっていきます。
歯周ポケットが4ミリ以上になると注意が必要で、それ以上悪化しないために歯科衛生士の指導のもとに正しい歯磨き方法を身につけ、お口の中から出来るだけ歯周病菌を減らすための努力をしなければいけません。
しかし歯周病への対処が遅れてしまった場合、歯周病菌は歯周ポケットの奥深く入っていき、歯を支えている歯槽骨を溶かし始めます。そうなると歯ぐきに膿がたまったり、歯がグラグラし始め、深刻な状態になります。膿による口臭もひどくなります。
そこまで症状が進むと誰でも気付くのですが、初期の段階では痛みもありませんし、歯肉のちょっとした腫れや健康な歯ぐきとの色の違いは、なかなか自分では気付かないのです。
そのため、気付いたときにはかなり歯周病が進行しています。歯科で抜歯をした原因の約50%が歯周病によるものだといわれており、特にシニアの方は、定期健診を受けることで普段から歯周病を予防していただきたいと思います。
抜けてしまった歯は抜けたままの状態で放置するわけにはいきませんので、インプラントや入れ歯、ブリッジなどの治療を受ける必要もあります。
定期健診と虫歯予防に関するQ&A
虫歯がない人や治療後でも定期健診に行くことはおすすめです。定期健診は虫歯や歯周病のリスクを小さくするために重要です。
実際には虫歯に強い人ほど歯周病に気をつける必要があります。虫歯と歯周病は異なる原因によって引き起こされるため、虫歯になりにくい人ほど歯周病にかかりやすい傾向があります。
歯周病の初期段階では歯ぐきが赤くなり柔らかくなります。歯磨き時に出血が起こることもあります。また、歯周ポケットの深さも増えていきます。
まとめ
虫歯に強い方も歯周病には十分に気をつけて予防しなければならないことをご説明しました。
歯周病は沈黙の病気といわれ、初期の段階では自覚症状が殆どありません。自覚症状が出た時には、歯周病はかなり進行していて、そうなると完治は難しいといわれています。健康な歯を長もちさせ、一生自分の歯で噛むための第一歩として、ぜひ歯科医院での定期健診をお受け下さい。