通常、オーラル(oral)が口、フレイリティ(frailty)は老衰を、英語では意味します。ただし、日本では若干意味あいが異なり、「生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態でも、適切な介入・支援を受ければ生活機能の維持向上が可能な状態」という意味で、厚生労働省がフレイルを定義しています。
オーラルフレイルとは口腔機能の低下のこと
オーラルフレイルとは、ささいな口腔機能の低下です。
- 固いものが噛みにくい
- 滑舌が悪くなる
- 食べこぼしが多くなる
- 僅かなものでも気管に入りむせる
- 口の中が乾く
など、加齢により唾液の分泌が衰え、口腔機能が低下した状態をオーラルフレイルと呼びます。
オーラルフレイルを放置すると?
「最近やたら咽せる」「固い食べ物が食べにくい」という日常の僅かな変化を放置してしまうと、オーラルフレイルの進行が早まりますので、注意しましょう。
オーラルフレイルを放ったままにすると、高齢者の方は二年以内で全身のフレイルにつながる可能性があります。オーラルフレイルではない方に比べると、様々なリスクが倍以上になると、日本歯科医師会が提言しています。
オーラルフレイルが及ぼす具体的な影響
また、固いものが食べにくくなると、どうしても柔らかい食事を好む傾向にあります。柔らかい食べ物ばかり咬んでいると、あごの骨や脳への刺激が少なくなり、更にお口周りの筋力(咀嚼機能)や顎骨が痩せ衰えてしまいます。
あごの骨が痩せてしまうと、健康な歯が抜けてしまい、義歯(入れ歯・ブリッジ・インプラント)の処置を行わなければなりません。歯が抜けると患者様の見た目に影響を与えますので、心理的なショックもあります。義歯の処置には、歯科医院への通院の治療期間、ドクターの治療に対する費用など新たな問題が出てきます。
オーラルフレイルを防止する運動
オーラルフレイルを防止するには、唾液の分泌を促すことが必要です。一般的に舌の体操や、マッサージが効果的です。
1. 舌の筋力を鍛える体操
舌を片側の頬の内側に強く押し付けて、外側から指で舌先を押さえるようにします。内側の舌は抵抗するようにゆっくり舌先を10回押し付けます。反対側も同様に行いましょう。
2. 唾液腺のマッサージ
耳下腺は耳の前あたりにあります。指数本でゆっくり円を描くようにマッサージを行います。前回しや逆回しをそれぞれ5回行うと、唾液の分泌を促せます。顎下腺・舌下腺などもマッサージを行うと効果的です。
オーラルフレイルに関するQ&A
オーラルフレイルとは、口腔機能の低下を指す言葉です。加齢により唾液の分泌が衰え、口の中の機能が低下することで、固いものの噛みにくさや滑舌の悪化、食べこぼしの増加、気管へのむせや口の乾きなどの症状が現れます。
オーラルフレイルを放置すると、進行が早まる可能性があります。特に高齢者の場合、オーラルフレイルが続くと全身のフレイル(虚弱体質)につながる恐れがあります。オーラルフレイルと比較して、全身的なリスクが倍以上になることが報告されています。
オーラルフレイルを防止するためには、唾液の分泌を促すことが重要です。舌の体操やマッサージが効果的です。舌の筋力を鍛えるためには、舌を片側の頬の内側に押し付け、舌先を外側から指で押さえる運動が行われます。また、唾液腺のマッサージも効果的であり、耳下腺や顎下腺、舌下腺などを指を使ってゆっくりとマッサージすることで唾液の分泌を促進させることができます。
まとめ
むし歯、歯周病、噛み合わせなど歯や歯肉に関するお悩みに目が届きがちですが、オーラルフレイルも気をつけましょう。オーラルフレイルにはメリットはなく、デメリットのみとなります。口腔内の疑問や質問がありましたら、定期健診などで通われているクリニックのスタッフや歯科医師へ相談を行うのが最善です。