夜中や入浴中や疲れたときなどに歯が痛くなるという方がおられます。どうして決まった時に歯が痛くなるのか、その理由をご説明します。
虫歯の痛みには種類がある
虫歯による痛みは2つに分類されます。
- 歯への外的な刺激による「誘発痛」
- 何もしなくても痛い「自発痛」
外的な刺激とは、虫歯に食べ物が挟まる、冷たいものを口に含む、虫歯を舌で触って刺激した場合などに生じます。
誘発痛にはさまざまな種類がある
外部の刺激による誘発痛は、症状によって細かく分類されます。
- 歯を叩くと痛む「打診痛」
- 歯をかみ合わせたときに痛む「咬合痛」
- 歯に冷たいものや熱いものがしみる「冷温熱痛」
- 歯をこすったときに痛む「擦過痛」
誘発痛が起こっている時は、治療は緊急を要しませんが、咬合痛、打診痛は、軽度の歯髄炎に繋がる可能性がありますので、痛みが続く場合は歯科を受診してください。
自発痛の代表、急性化膿性歯髄炎
夜や入浴時に歯が痛くなるのは、外的な刺激がないのに痛みが出る自発痛で、代表的なものに「急性化膿性歯髄炎」があります。
急性化膿性歯髄炎は歯髄が急に炎症を起こした状態のことをいいます。体温が上昇すると炎症が激しくなり、痛みが発生したり強くなったりすることがあります。
入浴時や入眠時に歯が痛くなるのは、体温が上昇するのが原因とされています。また睡眠時には、副交感神経の働きが強まることで、その作用で血管が拡張し、体温上昇することが痛みの原因になっていると考えられます。
また、スキューバダイビングで潜った時に一定の深さを超えると、歯が痛くなる場合があります。これは歯の根付近に出来た膿の袋が気圧の変化で膨らむためです。
歯髄炎の症状は、軽いものでは冷たい水や冷たい空気が原因で痛みますが、一時的に症状が出ているだけで、すぐにおさまります。しかし進行するとズキズキと脈動性の強い痛みがずっと続くようになります。
夜や入浴中に歯が痛くなるときは、進行している可能性が高いため、早めに歯科医の治療を受ける必要があります。
歯髄炎とは
歯髄炎とは歯の神経(歯髄)が炎症を起こしている状態のことをいいます。歯の神経は健康な状態の時はエナメル質や象牙質などで守られており、神経の中に入り込めるのは血液だけです。
ところが虫歯などでエナメル質や象牙質が抱えてしまうと、神経は細菌(虫歯菌など)に感染して炎症を起こします。重度の虫歯の場合、虫歯菌で神経が炎症を起こすと、痛みを取るためには神経を取る抜随治療をするしかありません。
虫歯以外にも、転んで歯が欠けたり、歯にひびが入ったりした場合には、抜随治療が必要になります。
夜や入浴中に歯が痛くなる理由に関するQ&A
夜や入浴中に歯が痛くなる主な理由は、体温の上昇や副交感神経の働きによる血管の拡張が原因です。急性化膿性歯髄炎という歯の状態が一因として挙げられます。また、スキューバダイビングなどの気圧の変化も歯の痛みを引き起こすことがあります。
スキューバダイビングで一定の深さを超えると、歯の根付近にできた膿の袋が気圧の変化で膨らむため、歯が痛くなることがあります。
軽い歯髄炎では冷たい水や冷たい空気による痛みが一時的に現れますが、進行すると脈動性の強いズキズキとした痛みが持続します。夜や入浴中に歯が痛くなる場合は、歯髄炎が進行している可能性が高く、早めの歯科医の治療が必要です。
まとめ
痛みがあると、仕事や勉強にも集中出来なくなり、何をするにも気力が乏しくなります。そして痛みを放っておくと治療が複雑になり、歯へのダメージも大きくなることがあります。歯は自然に治癒することはありませんので、痛みなどの症状がある場合は、早めに受診して処置を受けるようにしましょう。