乳歯は柔らかく虫歯になりやすいため、予防対策が必要です。お子さんの大切な歯を虫歯から守り、虫歯になりにくい環境をどのように作ればいいのか、子どもの虫歯とご家庭で出来るケアについてご説明します。
歯科による子供のための虫歯予防
1. 歯磨き指導
子供が歯磨きをしたくなるような丁寧な指導をします。歯ブラシと併せてフロスの仕方もアドバイスします。
虫歯を作らない為には実はデンタルフロスがとても大事です。乳歯の虫歯は歯と歯の間からなることが多く、その部分の汚れはブラシが届きにくいためフロスでないと取れません。
2. フッ素塗布
フッ素は、歯質を強くするために歯の表面に塗る処置です。自然治癒が可能な初期の虫歯の場合、フッ素を塗るだけで改善することもあります。定期的にフッ素塗布することは、虫歯予防に効果的です。
フッ素塗布の効果
- 歯を作る
- 歯を強くする
- 虫歯菌を抑制する
3. シーラント
シーラントとは?
生えたての歯にはブラシの先より細かな溝がある事も多く、磨き残しが虫歯になりやすい原因となっています。そうならないためにも、事前に奥歯の溝へシーラント(歯科用のプラスチック)を詰めて、虫歯を予防します。歯を削らないため、痛みなく治療ができます。
シーラント後の注意
シーラントをしても歯みがきをおろそかにすれば虫歯になる可能性があります。シーラントは永久に効果があるものではなく、シーラントで詰めた部分が欠けたりとれたりすると、そこから虫歯になりやすくなります。シーラント後は小児歯科の健診を受けて虫歯を早期発見できるようにしましょう。
虫歯とは?
虫歯は、ミュータンス菌に代表される虫歯菌と呼ばれる細菌によって起こる感染症です。虫歯菌は歯の表面に付着した食べかすや歯垢(プラーク)の中の糖分を分解して、その反応として酸を作り出します。歯の表面のエナメル質は酸に弱いため、その酸が歯を溶かすことで虫歯になってしまうのです。
乳歯や生えたての永久歯は、とても軟らかいため、虫歯菌に対する抵抗力はそれほど高くありません。そのため、虫歯になりやすく、虫歯の進行も速めてしまします。
乳歯への虫歯菌の感染
生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には、虫歯の原因となる虫歯菌(ミュータンス菌)がいないと言われています。それでは、どのようにして感染するのでしょうか?
一番考えられるのは、身近にいる大人からの感染です。感染経路として、同じ食器の共有や食べ物の口移しなどすることによって唾液を介して赤ちゃんに感染してしまうことがほとんどです。
乳歯が虫歯になっても、「永久歯に生え替わるから大丈夫じゃない?」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、決して大丈夫ではなく、その後の顎の成長や、次に生えてくる永久歯に悪影響を与えてしまうので注意しましょう。
イヤイヤ期は特に虫歯になりやすい
1歳~2歳で歯磨きを嫌がるお子さんがおられますが、それ自体は珍しいことではありません。しかしその時期は乳歯の奥歯が生える時期であり、奥歯に虫歯が出来やすい時期でもあるので、気を付けなければなりません。
お子さんの食生活の好みがある程度できてきますので、お菓子や甘い飲み物を欲しがった時にいつもあげていると、歯が糖にさらされる時間が多くなって虫歯が出来やすくなります。歯磨きを嫌がる場合は更に虫歯のリスクが増します。
親が歯磨きをしてあげる際に、なるべく手早くしっかり歯みがき出来るようにしましょう。嫌がっているお子さんに歯磨きをさせるには、親がギュッと押さえつけることになりますが、短時間で済ませることで、お子さんを長時間我慢させないようにして、歯みがきはすぐに終わることを印象付けましょう。
殆どの子はイヤイヤ期が過ぎれば、歯磨きの時にそれほど泣いたり暴れたりしなくなり、少しずつ上手に歯磨きが出来るようになりますので、ご安心ください。
乳歯の虫歯予防に関するQ&A
乳歯は柔らかく、虫歯菌に対する抵抗力が低いため、虫歯になりやすいです。
はい、乳歯の虫歯は次に生えてくる永久歯や顎の成長に悪影響を与える可能性があるため、注意が必要です。
イヤイヤ期は乳歯の奥歯が生える時期であり、奥歯に虫歯ができやすいため、虫歯になりやすいです。
まとめ
お子さんにとって大切なことは、まずは虫歯にならないこと。子供の頃から予防意識を持つことが、一生のお口の健康につながるのです。そのためには、まずは毎日しっかりと歯みがきをすることが大切です。
お子さんがまだ小さいうちは、大人の手助けが必要ですので、楽しみながら毎日の習慣として行ってください。そして、歯科での定期健診やフッ素塗布・シーラントなども予防歯科にはとても有効です。