審美歯科

セラミックの歯は割れやすい?割れないようにするには?

セラミックの歯は割れやすい?割れないようにするには?

セラミック治療は、審美性と機能性を兼ね備えた歯科治療として広く認知されています。しかし、「セラミックは割れやすい」という特性があります。セラミックが割れる原因やその対策、割れてしまった場合の応急処置についてご説明します。

セラミックが割れる主な原因

セラミックは陶器の一種であり、以下の要因で割れることがあります。

  • 強い衝撃や外力・・硬い食べ物を噛んだり、事故などで強い力が加わると、セラミックが割れることがあります。
  • 歯ぎしりや食いしばり・・無意識で起こる歯ぎしりや食いしばりは、セラミックに大きな負担をかけ、割れる原因となります。
  • 噛み合わせの不良・・噛み合わせが悪いと、特定の部位に過度な力が集中してしまって、セラミックの割れや欠けが起こることがあります。

セラミックが割れる原因には、力の加わり方や噛み合わせの状態が関係しています。例えば、硬い食べ物を繰り返し噛むことで、セラミックにひびが入りやすくなることがあります。

また、歯ぎしりや食いしばりは、就寝中に無意識に行われることが多く、長期間続くとセラミックにダメージを与え続けます。さらに、噛み合わせが悪い場合、特定の部分に集中して力が加わるので、セラミックが割れるリスクが高まります。

強い衝撃や外からの力による割れは、不意に事故的に起こる場合が多いため予防が難しい面もありますが、硬い食材を避けるなど、意識的に注意することでリスクを軽減できます。

一方、歯ぎしりや食いしばりは習慣的な問題であり、自覚がない場合がほとんどです。これが長期的に続くことで、セラミックに過剰なストレスがかかり、最終的に割れてしまうことがあります。

さらに、噛み合わせが良くないとセラミックの寿命に大きな影響を与えます。例えば、歯科治療後に噛み合わせの調整が不十分だと、一部のセラミックに過剰な力が集中し、通常の使用でもひび割れたり欠けたりする可能性が高まります。このため、噛み合わせの調整や定期的なチェックが必要です。

セラミックの種類と耐久性の違い

セラミックの被せ物

セラミックには複数の種類があり、それぞれ耐久性が異なります。

  • オールセラミック・・審美性に優れ、前歯など見た目が重要な部位に適していますが、強度は他の素材に比べて劣ります。
  • ジルコニアセラミック・・強度が高く、奥歯など強い力がかかる部位にも適しています。
  • メタルボンド・・金属フレームにセラミックを焼き付けたもので、強度と審美性のバランスが取れています。

セラミックの選択は、治療する部位や患者さんの生活スタイルによって異なります。例えば、前歯のように見た目が最も気になる部位ではオールセラミックが推奨されますが、奥歯のように噛む力が集中する部位ではジルコニアセラミックやメタルボンドが適しています。

ジルコニアセラミックは、他のセラミックと比べて非常に高い強度をもちますが、金属を用いたメタルボンドはさらに長期間にわたる使用にも耐えることが出来ます。

セラミックが割れないための対策

セラミックの破損を防ぐためには、以下の点に注意が必要です。

適切な素材の選択

治療部位や患者さんの生活習慣に応じて、最適なセラミックの種類を選ぶことが重要です。前歯には見た目重視なのでオールセラミック、奥歯には強度重視のジルコニアセラミックを選ぶなど、使用部位に応じた適材適所の選択が鍵です。

また、歯科医師との相談を通じて、患者さんの噛み合わせや日常の癖に合った素材を選ぶことも重要です。

歯ぎしり・食いしばりの対策

ナイトガード(マウスピース)の使用は、歯ぎしりや食いしばりによるセラミックの歯への負担を減らして歯を守ります。ナイトガードは歯科医院で患者さんの歯に合わせて個別に作成され、患者さんのお口にフィットするように調整されます。この装置を就寝中に使用することで、歯ぎしりをしてもセラミックを守るだけでなく、顎関節症の予防にもつながります。

しかし、歯ぎしりや食いしばりの影響で、数か月でマウスピースに穴があいてしまう場合がありますので、その時は歯科医院で作り直すことになります。穴があいたままで使用すると、穴の部分が噛み合わせが強い部分なので、歯にダメージを与えます。

硬い食べ物の摂取を控える

硬い飴やお煎餅、氷などは、セラミックに直接的な負担を与える可能性があります。これらを避けることが、セラミックの長寿命化につながります。特に、力を入れて噛む必要がある食品は、セラミックを割るリスクを高めるため、食べ物を小さく割ったり砕いた状態で食べるなどの工夫が必要です。

定期的な健診

3~6ヶ月に一度の健診では、噛み合わせやセラミックの状態を確認します。歯科医師が噛み合わせを微調整することで、セラミックへの負担を最小限に抑えられます。また、健診中にセラミック表面の小さなひび割れや摩耗を早期に発見できるため、大きな問題に発展する前に適切な処置を行うことが可能となります。

セラミックが長持ちするためには、日常生活の中での注意が不可欠です。ナイトガードを装着することで、歯ぎしりによるセラミックへの負担を軽減するだけでなく、噛み合わせを均等に保つ役割も果たします。また、硬い食べ物を避けることはもちろん、日々の歯磨きや健診で口腔内の清潔を保つことが、セラミックの耐久性を向上させるポイントです。

セラミックが割れてしまった場合の応急処置

万が一セラミックが割れた場合、以下の対応を行ってください。

  • 破片の保管・・割れたセラミックは清潔な袋に保管し、歯科医院に持参してください。再利用できる場合があります。
  • 口腔内の清潔保持・・うがいや歯磨きで口内を清潔に保ち、感染を防ぎます。
  • 刺激物の回避・・冷たいものや熱いもの、辛い食べ物は避け、歯の過敏症状を予防します。

セラミックが割れてしまった場合、まず割れた破片を慎重に取り扱うことが重要です。その理由は、割れた部分が再接着可能な場合もあるためです。また、口内を清潔に保つことで、破損部分からの細菌感染を防ぐことができます。特に、刺激物を摂取しないことで、破損した箇所への追加の負担や痛みを避けることができます。

セラミック治療後のメンテナンスと注意点

定期健診

セラミックを長持ちさせるためには、以下の点に留意しましょう。

  • 禁煙・・喫煙は歯茎の血流を悪化させ、歯周病のリスクを高めます。禁煙を心がけましょう。
  • 適切な口腔ケア・・日々の歯磨きやデンタルフロスの使用で、口腔内を清潔に保ちます。
  • 定期的なメンテナンス・・歯科医院での定期的なチェックとクリーニングで、セラミックの状態を維持しましょう。

セラミック治療を受けた後は、日常的なケアが必要になります。特に、禁煙を徹底することで、歯茎の健康状態を良好に保つことができます。

また、歯磨きやデンタルフロスを用いて汚れを落とすことは、セラミックの美しさと機能を維持するために欠かせません。加えて、定期的な歯科健診で噛み合わせやセラミックの摩耗状態を確認することで、問題が起こるのを未然に防ぐことができます。

セラミック治療は、適切なケアとメンテナンスで長持ちさせることが可能です。毎日の丁寧な歯磨きと定期的な健診を欠かさず、美しい口元を保ちましょう。

まとめ

セラミック治療は、適切な素材選びや噛み合わせの調整、日常的なメンテナンスによって長持ちさせることができます。特に、歯ぎしりの対策や硬い食べ物の摂取を控えることが、セラミックの破損を防ぐための重要なポイントです。

また、万が一割れた場合でも、正しい応急処置と速やかな歯科医院への相談が問題解決につながります。毎日の歯磨きと定期健診を欠かさず、美しい歯を維持しましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 高槻クローバー歯科
院長 髙野 祐

2013年 岡山大学 歯学部卒業。2014年 岡山大学病院臨床研修終了

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高槻クローバー歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック