矯正歯科

噛み合わせが悪いとどんなリスクがあるの?

噛み合わせが悪いとどんなリスクがあるの?

噛み合わせが悪いとは、上下の歯の接触の仕方が悪いということで、不正咬合と呼ばれます。噛み合わせの悪さは見た目の問題だけではなく、様々な健康リスクを引き起こします。噛み合わせが悪いとどのようなリスクがあるのかをご説明します。

噛み合わせが悪いとどのような影響が出るのか?

不正咬合による代表的な影響は以下のようなものです。

歯の摩耗や破損

  • 噛み合わせが適切でないと、特定の歯に過剰な負担がかかり、摩耗やひび割れが生じる可能性があります。
  • 歯垢が溜まりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが増大します。

顎関節症のリスク

  • 不正咬合は顎関節に負担をかけ、痛みや違和感を引き起こすことがあります。
  • 顎を開け閉めする際の音や、食事中の不快感が増すこともあります。

咀嚼機能の低下

  • 食べ物を十分に噛むことができず、消化不良や栄養不足を引き起こす可能性があります。

発音への影響

  • 正しい噛み合わせがない場合、一部の音を発音するのが困難になることがあります。特に「さ行」や「た行」の発音に支障が出ることが多いです。

これらの影響は、口腔内だけでなく全身に悪影響を及ぼします。例えば、歯の摩耗が進むと噛み合わせのバランスがさらに悪化し、他の歯への負担が増えるという悪循環に陥ることがあります。また、顎関節症の症状は放置すると慢性化する恐れがあり、生活の質を大きく低下させる要因となります。

さらに、咀嚼機能の低下は全身の健康にも影響を及ぼします。食事の際に食べ物を十分に噛めないことで、消化不良や胃腸障害を引き起こす可能性があります。特に高齢者においては、栄養不足が深刻な健康問題となることも少なくありません。このように、噛み合わせの悪さは日常生活のさまざまな側面に影響を及ぼすため、早めの対応をおすすめします。

全身の健康への影響

噛み合わせの悪さは、口腔内の問題だけでなく、以下のような全身的な健康リスクを引き起こします。

頭痛や肩こり

噛み合わせの不良が筋肉の緊張を引き起こし、慢性的な頭痛や肩こりの原因になります。

姿勢の悪化

顎の位置が不安定になることで、首や背中の筋肉に負担がかかり、姿勢が崩れる可能性があります。

消化器系への影響

咀嚼が不十分だと消化に時間がかかり、胃腸の不調を招くことがあります。

睡眠の質の低下

噛み合わせの問題が原因で、睡眠中の歯ぎしりや食いしばりが生じ、熟睡できないことがあります。

ストレスの増加

慢性的な痛みや不快感はストレスを増加させ、精神的な健康にも悪影響を及ぼします。

これらの症状は、生活の質を大きく低下させる要因となります。特に、頭痛や肩こりの症状は他の原因で起こっている場合と見分けがつきにくいため、噛み合わせがその要因であるなかなか気づけず、何年も症状を我慢するということもあります。また、姿勢の悪い状態が続くと、筋肉や骨格に長期的な負担がかかり、慢性的な痛みが起こる可能性があります。

さらに、消化器系への影響は体全体の健康に直結します。咀嚼が不十分な状態では、消化器官が食べ物を処理する負担が増大し、消化不良や胃腸の不調を引き起こします。これが長期的に続くと、栄養不足や体力の低下に繋がるリスクが高まります。噛み合わせを適切に保つことは、こうした全身的な健康リスクを軽減するために不可欠です。

美容的な影響も見逃せない

不正咬合は、お顔の見た目にも影響を与えます。

顔の非対称性

噛み合わせが悪いと、顔の左右のバランスが崩れることがあります。

老けた印象を与える

顎のラインや頬の張りが変化し、年齢以上に老けた印象を与える可能性があります。

笑顔に自信が持てない

歯並びが悪いことで、笑顔に対する自己肯定感が低下します。

これらの美容的影響は、外見に関する心理的な問題を引き起こしやすく、他人との交流や自己評価に悪影響を及ぼす可能性があります。特に若年層では、こうした問題が社会的な不安感を生むことも少なくありません。

子どもの成長にも影響する不正咬合

子どもの場合、不正咬合は成長発育に大きな影響を与えます。

発音の問題

噛み合わせが悪いと、発音が不明瞭になることがあります。

顎の成長への影響

不適切な噛み合わせが、顎の発達を妨げる原因となることがあります。

虫歯や歯周病のリスク

歯磨きがしにくく、歯垢が溜まりやすいため、虫歯や歯周病が進行しやすいです。

これらの影響は、子どもの健全な成長や日常生活に深刻な支障をきたすことがあります。特に発音や顎の発達は、言語能力や顔の骨格形成に直接影響を及ぼすため、早期の対応が重要です。

噛み合わせを改善するための治療法

噛み合わせを改善するためには、適切な治療が必要です。以下の方法が一般的です。

矯正治療

  • ワイヤー矯正、インビザラインなどの装置を使用して、歯並びと噛み合わせを整えます。
  • 矯正治療は、時間をかけて徐々に歯を正しい位置に導く方法で、特に若年層は歯が動きやすいのでスムーズに治療が出来ます。

現在では目立たない透明なマウスピース型の矯正器具が利用できるため、見た目の悩みを軽減しながら治療が進められます。

被せ物や詰め物

  • 摩耗した歯の高さや欠けた歯を補修することで、正しい噛み合わせを取り戻します。
  • 特に大きな欠損がある場合には、被せ物を使用することで機能と見た目を同時に改善します。

スプリント療法

  • 顎関節症の治療に用いられる装置で、顎の位置を調整します。
  • 夜間に装着することで、無意識の歯ぎしりや食いしばりによる顎関節への負担を軽減します。

筋機能療法(MFT)

  • 舌や唇、頬の筋肉を鍛えるトレーニングを通じて、正しい噛み合わせを補助する方法です。
  • 子どもの成長期に特に効果的で、矯正治療と併用することでより良い結果が期待できます。

これらの治療法を組み合わせることで、噛み合わせの改善が可能です。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあるため、歯科医と相談しながら最適な治療法を選ぶことが重要です。患者さんお一人おひとりの症状や生活環境に応じたカスタマイズされた治療計画が必要となります。

日常生活での予防とケア

治療だけでなく、日常生活でのケアも重要です。

正しい歯磨き

歯垢をしっかり除去し、歯周病や虫歯を予防します。

定期健診

歯科医院での健診を欠かさず、早期発見・早期治療を心がけましょう。

ストレス管理

ストレスは歯ぎしりや食いしばりの原因となるため、リラックスできる環境を整えることが大切です。

これらの予防策を実践することで、噛み合わせの問題を未然に防ぐことが可能です。特に、歯科医による定期的なチェックは、小さな問題を早期に発見し、深刻化を防ぐ重要な手段です。

まとめ

噛み合わせの悪さが引き起こすリスクは、お口の中だけでなく、全身の健康や心理面にも及びます。不正咬合を放置することで、生活の質が低下し、さらに深刻な健康問題を招く可能性があります。噛み合わせの治療と不正咬合にならないための予防を行うことが、健康で快適な生活に繋がります。

この記事の監修者
医療法人真摯会 高槻クローバー歯科
院長 髙野 祐

2013年 岡山大学 歯学部卒業。2014年 岡山大学病院臨床研修終了

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高槻クローバー歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック