矯正歯科

矯正治療にリスクや副作用はある?

矯正治療にリスクや副作用はある?

矯正治療は、美しい歯並びと正しい咬み合わせを実現するための効果的な方法です。しかし、他の医療行為と同様に、矯正治療にも潜在的なリスクや副作用が存在します。これらを正しく理解し、適切な対策を講じることで、安心して治療を受けることができます。

歯並びを整えるための矯正治療には「リスクや副作用はあるの?」と心配される方も多いことでしょう。実際、矯正治療にはさまざまなメリットがありますが、同時に気をつけるべき点もあります。

「矯正治療を受けたいけれど、不安がある…」
「副作用やトラブルが起こったらどうしよう?」

そんな疑問をお持ちの方も、ご安心くださいね。矯正治療におけるリスクや副作用についてご説明します。

矯正治療の一般的なリスクとは?

矯正治療は基本的に安全ですが、いくつかのリスクが伴う場合があります。代表的なものを挙げてみましょう。

  • 歯の移動に伴う痛みや違和感 → 矯正装置を装着した直後や調整後に痛みを感じることがありますが、通常は数日で治まります。
  • 歯茎のトラブル(歯肉退縮・炎症) → 矯正装置が当たることで歯茎が下がったり、歯磨きがしにくくなって歯茎に炎症が起こることがあります。
  • 歯の根の吸収(短くなる) → 強い力をかけすぎると、歯の根が吸収されて短くなることがあります。
  • 噛み合わせの変化や違和感 → 矯正後、一時的に噛み合わせが不安定になることがあります。

これらのリスクは、適切な管理のもとで治療を進めることで最小限に抑えられます。歯科医師の指示に従いながら治療を受けることが大切ですね。

装置別に見るリスクの違い

矯正装置の種類によってもリスクの現れ方が異なります。

ワイヤー矯正(表側・裏側)

  • 金属ワイヤーによる口内炎や擦れ → 装置が頬や唇の内側に当たり、口内炎ができることがあります。
  • 見た目が気になる(表側矯正の場合) → 装置が目立つことで、見た目が気になる方もいます。

マウスピース矯正(インビザラインなど)

  • 装着時間を守らないと効果が出にくい → 1日20時間以上装着しないと、十分な効果が得られません。
  • 取り外し可能なため紛失リスクがある → 食事の際に外した後、誤って捨ててしまうケースもあります。

部分矯正

  • 適応できるケースが限られる → 全体の噛み合わせを考慮しないと、逆に不安定になることがあります。

それぞれの矯正方法にメリット・デメリットがあるため、患者さんの状況に合った方法を選ぶことが重要です。

矯正中に注意したい副作用と対策

矯正治療中には、以下のような副作用が起こる可能性があります。

  • 歯がしみる(知覚過敏) → 歯の移動による影響で、一時的に知覚過敏が生じることがあります。
  • 歯垢や歯石がつきやすい → 矯正装置があることで歯磨きがしにくくなり、歯垢が溜まりやすくなります。
  • 発音がしにくくなる(特に裏側矯正やマウスピース矯正の初期) → 舌の動きに影響を受け、一時的に発音がしにくくなることがあります。
  • 顎関節症のリスク → 噛み合わせの変化により、顎の関節に負担がかかることがあります。

これらの副作用を防ぐために、歯磨きを徹底し、定期的な健診を受けることが大切です。

お口の中の違和感と痛み

矯正装置を装着すると、初期段階で以下のような症状が現れることがあります。

  • 違和感 → 口の中に異物がある感覚。
  • 痛み → 装置装着や調整後、数時間から数日間続くことがある。
  • 口内炎 → 装置の一部が粘膜を刺激し、炎症を引き起こす場合がある。

これらの症状は通常、数日から1週間程度で慣れていきます。特に痛みは、装置の調整後4~5時間後から始まり、2~3日をピークに徐々に和らぐ傾向があります。口内炎や粘膜の傷が生じた場合、原因となる部分の調整や、粘膜保護剤の使用が効果的です。

歯の移動に伴う痛み

歯が動く過程で、以下のような痛みや不快感を感じることがあります。

  • 歯の圧迫感 → 歯が移動する際の圧力によるもの。
  • 噛むときの痛み → 特に装置調整後の数日間に顕著。

痛みの感じ方には個人差がありますが、多くの場合、調整後2~3日をピークに和らいでいきます。痛みが強い場合は、市販の鎮痛剤の服用や、冷たいものを口に含むことで症状を緩和できます。また、柔らかい食事を心がけることで、噛む際の負担を軽減することが可能です。

治療期間の延長リスクとその要因

矯正治療の期間は、以下の要因によって延長する可能性があります:

  • 個人差 → 歯の動く速度や骨の状態は人それぞれ。
  • 患者さんの協力度 → 装置の適切な使用や定期的な通院が治療進行に影響。
  • 予期せぬ口腔内の変化 → 新たな問題の発生や、歯の移動に伴う予想外の変化。

特に、患者さん自身の協力は治療の進行に大きく影響します。装置の使用方法を守り、定期的な通院を怠らないことが、計画通りの治療完了につながります。

口腔衛生管理と虫歯・歯周病のリスク

矯正装置の装着により、以下のリスクが高まることがあります:

  • 歯垢の蓄積 → 装置周辺に汚れが溜まりやすくなる。
  • 虫歯の発生 → 清掃が不十分な場合、虫歯のリスクが増加。
  • 歯肉炎や歯周病 → 歯垢の蓄積により、歯肉の炎症や歯周病が進行する可能性。

これらを防ぐためには、以下の対策が有効です:

  • 丁寧な歯磨き → 装置専用のブラシやデンタルフロスを使用。
  • 定期的な健診 → 歯科医師や歯科衛生士によるプロフェッショナルクリーニング。
  • フッ素配合の歯磨き粉の使用 → 虫歯予防効果を高める。

適切な口腔ケアと定期的なプロフェッショナルケアを組み合わせることで、矯正治療中の口腔内トラブルを最小限に抑えることができます。

歯根吸収や歯肉退縮などの歯の構造変化

矯正治療中、以下のような歯や歯肉の変化が起こることがあります:

  • 歯根吸収 → 歯の根が短くなることがある。
  • 歯肉退縮 → 歯肉が下がり、歯が長く見えるようになる。

歯根吸収は、強い力をかけて歯を急激に動かした場合に起こりやすく、特に成人矯正では注意が必要です。一方、歯肉退縮は歯周病の影響や、過度なブラッシングによっても悪化することがあります。

金属アレルギーや顎関節症の可能性

矯正治療では、使用する材料や装置が原因で以下のリスクが生じることがあります:

  • 金属アレルギー → 金属製のブラケットやワイヤーに対するアレルギー反応。
  • 顎関節症 → 噛み合わせの変化による顎の痛みや違和感。

金属アレルギーがある方は、セラミックやプラスチック製の装置を選択することでリスクを軽減できます。また、顎関節症の症状が出た場合は、歯科医師と相談しながら治療計画を調整することが大切です。

治療後の後戻りと保定装置の重要性

矯正治療が完了した後も、以下のような問題が発生する可能性があります:

  • 歯の後戻り → 歯が元の位置に戻ろうとする。
  • 保定装置の不適切な使用 → リテーナーを適切に使用しないと歯が動く。

治療後の後戻りを防ぐためには、保定装置(リテーナー)の使用が不可欠です。指示された期間、適切に装着することで、長期的に歯並びを維持することができます。

矯正治療後に起こる可能性があるトラブル

矯正が完了した後も、気をつけるべき点があります。

  • 後戻り(リテーナーの使用が必要) → 矯正後にリテーナー(保定装置)を使用しないと、歯が元の位置に戻ることがあります。
  • 噛み合わせが変化することがある → 長期間かけて歯が動いた結果、矯正前とは異なる噛み合わせになる場合があります。
  • 歯の表面にホワイトスポット(白い斑点)ができる → 矯正中に歯磨きが不十分だと、脱灰が起こり、白い斑点が残ることがあります。

矯正後も歯科医師の指示に従い、適切なメンテナンスを続けることが重要ですね。

矯正治療のリスクを最小限にするために

矯正治療のリスクを減らすためには、以下のポイントを意識しましょう。

  • 経験豊富な矯正歯科医を選ぶ → 適切な診断と治療計画が、リスク回避につながります。
  • 定期的な健診を受ける → 矯正中の問題を早期発見し、対処することが重要です。
  • 正しい歯磨きを心がける → 矯正装置による歯垢の蓄積を防ぐため、丁寧な歯磨きが必要です。
  • リテーナーをしっかり使う → 矯正後の後戻りを防ぐために、歯科医師の指示通り装着しましょう。

矯正治療は時間がかかるものですが、適切なケアを行えばリスクを最小限に抑えることができます。

まとめ

矯正治療にはリスクや副作用が伴うこともありますが、しっかりとしたケアと適切な治療方針を守れば、安心して進めることができます。

  • 矯正治療には痛みや歯茎のトラブル、歯の根の吸収などのリスクがある
  • 矯正装置によってリスクの現れ方が異なる
  • 正しいケアを行うことで、リスクを最小限に抑えることができる

「矯正治療を始めてみたいけれど不安…」という方も、まずは矯正歯科で相談してみると安心ですよ。

この記事の監修者
医療法人真摯会 高槻クローバー歯科
院長 髙野 祐

2013年 岡山大学 歯学部卒業。2014年 岡山大学病院臨床研修終了

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高槻クローバー歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック