
朝起きたときや食後、口の中がネバネバして不快に感じたことはありませんか?このネバネバ感は、多くの方が経験する症状で、放置すると口臭や虫歯、歯周病などの口腔トラブルにつながる可能性があります。口の中のネバネバの原因と、その解消方法についてご説明します。
口の中がネバネバする時、口内では何が起こっているの?
口の中がネバネバすると感じるとき、実は 唾液の性質の変化 や 細菌の増殖 など、さまざまな要因が影響しています。では、具体的に口腔内ではどのようなことが起こっているのでしょうか?
1. 唾液の量や質の変化
唾液は口腔内の健康を維持するためにとても重要な役割を果たしています。しかし、以下のような理由で唾液の 量が減少 したり 粘性が高まったり すると、ネバネバを感じやすくなります。
唾液の分泌量が低下する原因
- 水分不足 → 体内の水分が足りないと唾液の分泌も減少します。
- ストレスや緊張 → 交感神経が優位になると唾液の分泌が抑えられます。
- 加齢 → 年齢とともに唾液腺の機能が低下し、分泌量が減ることがあります。
- 口呼吸 → 口で呼吸をすると口腔内が乾燥し、ネバつきの原因になります。
- 薬の影響 → 抗うつ薬や抗アレルギー薬など、一部の薬は唾液の分泌を減らす作用があります。
唾液の質が変化する原因
- 糖分や炭水化物の摂取が多い → これらの食品を多く摂ると、唾液の粘性が増し、ネバネバしやすくなります。
- 偏った食生活 → 唾液の成分は食事の内容にも影響を受けます。繊維質の少ない食事や加工食品ばかり摂ると、唾液の質が低下することがあります。
結果として
唾液が十分に分泌されないと、口の中の洗浄作用が低下し、細菌が増殖しやすくなります。また、粘度の高い唾液が増えることで、ネバネバ感が強くなります。
2. 細菌の増殖と歯垢の蓄積

口の中には 300〜700種類以上 の細菌が生息しているといわれています。普段は唾液の働きで細菌のバランスが保たれていますが、以下の要因で 細菌が増殖 すると、ネバネバ感が増してしまいます。
細菌が増えやすい環境
- 歯磨き不足:歯垢が溜まると、細菌の温床になりやすい。
- 舌苔(舌の汚れ) → 舌の表面に細菌や食べかすが付着すると、ネバつきや口臭の原因に。
- 糖分の摂取が多い → 細菌は糖分を栄養にして増殖しやすくなります。
細菌が増えるとどうなる?
- 細菌が増えると、口腔内で バイオフィルム(細菌の膜) が形成され、ネバネバ感が増します。
- 特に 夜間 は唾液の分泌が減るため、朝起きたときに口の中がネバネバしやすくなります。
3. 口腔内のpHバランスの変化
健康な口腔内は pH6.8〜7.0(ほぼ中性) に保たれていますが、以下のような要因で 酸性に傾く と、ネバネバ感が強まります。
口の中が酸性になる要因
- 糖分の摂取 → 糖をエサに細菌が増え、酸を生成。
- 飲酒や喫煙 → アルコールやタバコは口腔内を乾燥させ、酸性に傾ける。
- 胃酸の逆流(逆流性食道炎)
- 唾液の減少(唾液にはpHを中和する働きがあるため)
酸性になるとどうなる?
- 歯の表面が溶けやすくなる(脱灰)
- 細菌が増殖しやすくなる
- ネバネバした不快感が増す
このように、口腔内のpHバランスが崩れることで、細菌が活発になり、ネバネバ感が悪化してしまいます。
口の中がネバネバする主な原因
口の中のネバネバ感は、以下のような要因によって引き起こされます。
唾液の分泌量の低下
唾液は口腔内を潤し、食べ物の消化や細菌の繁殖を抑える重要な役割を果たしています。しかし、加齢やストレス、薬の副作用などで唾液の分泌が減少すると、口の中が乾燥し、ネバネバ感を感じやすくなります。
口腔内の細菌の増殖
歯垢や舌苔が蓄積すると、細菌が増殖し、ネバネバ感の原因となります。特に、歯磨きや舌の清掃が不十分な場合、細菌が繁殖しやすくなります。
生活習慣の影響
食生活の乱れや喫煙、飲酒などの習慣は、口腔内の環境を悪化させ、ネバネバ感を引き起こすことがあります。また、口呼吸の習慣も口腔内の乾燥を招き、ネバネバ感の一因となります。
口の中のネバネバを取るための方法
それでは、口の中のネバネバを解消するために、具体的にどのような対策を取ればよいのでしょうか?以下の方法を試してみてください。
1. 正しい歯磨きで歯垢をしっかり除去する

歯垢が溜まることで細菌が繁殖し、ネバネバ感を引き起こします。毎日の歯磨きを見直し、丁寧に磨くことが大切です。
歯ブラシはやさしく使う
強く磨きすぎると歯茎を傷つけることがあるため、力を入れすぎないようにしましょう。
歯間ブラシやデンタルフロスを活用する
歯と歯の間に溜まった汚れは、普通の歯磨きでは落としきれません。歯間ブラシやデンタルフロスを使うことで、細菌の増殖を防ぐことができます。
舌も清潔に保つ
舌苔が溜まると、口の中のネバネバ感や口臭の原因になります。専用の舌ブラシや、柔らかい歯ブラシで優しく清掃しましょう。
毎日の歯磨きの習慣を少し見直すだけでも、ネバネバ感の軽減につながります。
2. 唾液の分泌を促す習慣を取り入れる
唾液の分泌が減少すると、口腔内が乾燥し、ネバネバしやすくなります。唾液をしっかり分泌させるために、以下の習慣を取り入れてみましょう。
よく噛んで食べる
食事の際にしっかり噛むことで、唾液の分泌が促進されます。特に、ガムを噛むことは手軽にできる方法としておすすめです。
唾液腺マッサージを行う
耳の下(耳下腺)、顎の下(顎下腺)、舌の下(舌下腺)を優しくマッサージすると、唾液の分泌が促進されます。
水分をしっかり摂取する
口の中が乾燥するとネバネバ感が増すため、こまめに水分補給を行いましょう。特に、水や白湯がおすすめです。
これらの習慣を意識することで、唾液の分泌を活性化させ、口の中の潤いを保つことができます。
3. 生活習慣を見直す
普段の生活習慣が、口の中のネバネバ感に影響を与えることがあります。
バランスの良い食事を心がける
野菜や発酵食品を積極的に摂ることで、口腔内の環境を整えることができます。
アルコールやカフェインの摂取を控える
これらの飲み物は唾液の分泌を抑制し、口の中を乾燥させることがあります。
ストレスを軽減する
ストレスが溜まると交感神経が優位になり、唾液の分泌が減少します。適度な運動や趣味の時間を持つことで、リラックスする習慣を作りましょう。
生活習慣の改善は、長期的に口腔内環境を整えるために重要です。
4. 定期的に歯科医院で健診を受ける

セルフケアだけでは取り切れない歯垢や汚れは、歯科医院での専門的なクリーニングを受けることで解消できます。
歯科医院でのプロフェッショナルクリーニング
歯科医院では、専用の機器を使って歯垢を徹底的に除去してもらえます。
詰め物や被せ物のチェック
不適合な詰め物や被せ物があると、細菌が溜まりやすくなります。定期的にチェックを受け、適切な処置を行いましょう。
ドライマウスの相談
口の中の乾燥が続く場合は、ドライマウスの可能性があります。歯科医院で適切なケア方法を相談するとよいでしょう。
定期的な歯科医院での健診を受けることで、口腔内の健康を維持し、ネバネバ感を予防することができます。
まとめ
口の中のネバネバ感を解消するためには、以下のポイントが重要です。
唾液の分泌を促す習慣を取り入れる
生活習慣を見直し、口腔環境を整える
定期的に歯科医院で健診を受ける
日々のちょっとした工夫で、口の中のネバネバを解消し、快適な口腔環境を手に入れましょう。気になる症状が続く場合は、歯科医院での相談をおすすめします。