矯正歯科

マウスピース矯正インビザラインの特徴を教えて

マウスピース矯正インビザラインの特徴を教えて

高槻クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 髙野 祐

マウスピース矯正の中でも人気の高いインビザラインとはどのような矯正装置なのか?その特徴についてご説明します。

インビザラインの特徴

インビザライン

インビザラインの主な特徴を9個ご紹介します。

特徴1.世界中での症例数が圧倒的に多い

インビザライン

インビザライン(Invisalign)は世界の100ヶ国以上で提供され、900万人を超える方がインビザラインで矯正治療を行っています。アメリカやドイツ、ヨーロッパでは最も知名度の高いマウスピース矯正方法で、アメリカではインビザラインシステムのテレビコマーシャルが流れています。

インビザラインがマウスピース矯正の中でも世界中で圧倒的な人気を誇る理由は、適応範囲が広く、実例に基づく治療結果を世界中の様々な学会やカンファレンス、学術サイトや矯正治療の専門誌などで、インビザラインシステムの矯正治療結果を、世界中の矯正歯科医が学術論文で報告しているからです。

特徴2.透明で目立たない矯正装置

インビザライン スマートトラック

インビザラインは透明感のあるマウスピースを用いて歯を動かして行く矯正装置です。インビザラインのアライナー(マウスピース)は「SmartTrack(スマートトラック)」という新しい独自の素材を使っています。2013年2月以降の治療ではこのスマートトラックが使用されています。

スマートトラックという新しい技術では、従来の素材と比べて歯とアライナーの密着度が高く、治療計画の通りに歯を移動させることが出来るようになり、より薄くなり装着感と審美性が向上しました。

SmartTrackは弾力性に優れ、アライナーの着脱が以前よりも容易になり、複雑に重なり合った歯の方もアライナーの取り外しに苦労することがなくなりました。

特徴3.痛みが少ない

マウスピース矯正は7日~10日程度かけて歯を0.25mm程度動かします。ワイヤー矯正と比べるとゆっくりと歯を動かしますので、歯を動かす際の痛みが少ないのが特徴です。痛みに弱い方にはインビザラインがおすすめです。

特徴4.食事と歯磨きの際には取り外せる

歯ブラシ

インビザラインは患者さん自身で取り外すことが可能で、食事と歯磨きの時は取り外して行います。マウスピースを付けたままで飲食するとマウスピースの変形や汚れに繋がりますので、水以外の飲み物、また食べ物の飲食はマウスピースを外して行います。

歯みがきもマウスピースを外して行いますので、普段通りのケアが出来ます。しかし1日にマウスピースを装着する時間は22時間以上と決まっていますので、それをしっかりと守らねばなりません。

特徴5.アタッチメントがついている

アタッチメント

インビザラインが他のマウスピース矯正と違う点はいくつもありますが、その中でも代表的なものが、アタッチメントをつけて歯に思い通りの力をかけることが出来る点です。

アタッチメントはクリンチェックの段階で、まずAIがどの歯にどの形のアタッチメントをつけてどの方向に力をかけて歯を動かすかの計画を作成します。その後、担当医がアタッチメントの種類や数を修正します。

アタッチメントは歯にレジンの小さな突起を貼り付けます。アライナー(マウスピース)側にも同じ形の突起がついていますので、歯にしっかりと力がかかります。インビザラインで歯を動かすために、アタッチメントは欠かせないものです。

特徴6.歯科医師のスキルで治療範囲が変わる

インビザライン クリンチェック

インビザラインシステムで使用するマウスピース(アライナー)の製作工程は、現在の歯並びをスタートとし、理想の歯並びをゴールとして、その途中の歯の動きに合わせた30~60枚程度のマウスピース(アライナー)を一度に製作します。実際の治療ではこれらのアライナーを順番に1~2週間ずつ装着して歯を少しずつ動かしていきます。

それなら誰が治療しても同じ結果になるし、軽度の不正咬合しか治らないのではないかと思われるかもしれません。しかし、インビザラインでは最初のクリンチェックと呼ばれる歯の動きを設計する画面で、どのように歯を動かしていくかを細かく設定することが出来、その設定内容に歯科医師のスキルが深く関わっています。

クリンチェックは完全AIに任せっぱなしで自動でアライナーを作製するわけではなく、アライン・テクノロジー社のエンジニアがしっかりと一つひとつのクリンチェックの内容に間違いがないかを目で見て確かめます。

更に、経験のある歯科医師であれば、AIの作った治療計画よりももっと良い治療計画を作成し、歯の微妙な位置や角度の動きをコントロールすることができます。

特徴7.インビザラインはiTeroで歯をスキャンしてデータ化する

iTeroスキャン中

一般的に歯医者で歯型を採るには、プラスチックか金属でできたトレイにスライムのようなものを充填し、歯にぴったりとつけて数分待ち、その後歯科助手が石膏を流して歯型模型を作成します。

インビザラインではiTero(アイテロ)と呼ばれる3Dスキャナーを使ってお口の中をスキャニングしてその場でデータ化して3D画像で画面上で見れるようになります。慣れたスタッフでしたら片顎3分程度でスキャンできます。

トレイがお口の中に当たって痛かったり、えづくこともありませんので、患者さんにとってはとても楽に精密な歯型が取れます。

特徴8.インビザラインは治療計画と製造が自動化されている

インビザラインのクリンチェック

インビザラインはitero(アイテロ)という光学3Dスキャナーで患者さんの歯型データを読み取り、クリンチェックというシステムにデータを読み込ませてデジタルで治療計画をたてます。歯をどのように動かしていくのかのデータはAIが作成してくれますが、その後担当医が必ず修正を加え、より患者さんにぴったり合った治療計画が出来上がります。

クリンチェックでの治療計画が完成したら、データを米国に送ってマウスピースを作製します。マウスピースを作る工程もコンピューターで自動化されており、専用の器械で精密なマウスピースが製造されます。

特徴9.インビザラインは後戻りの治療には特に向いている

子供の頃に矯正治療をしたけれど、何年も経過する間に少しずつ歯並びが元に戻ってしまったという方は少なくありません。インビザラインはそのような方にもおすすめの矯正装置です。

後戻りの治療では、最初の矯正治療の時ほどは歯を大きく動かしません。そのため、治療期間が短く済む部分矯正の適用になる場合がありますので、歯科医院にお尋ねください。

マウスピース矯正には様々なシステムがあります

マウスピース矯正には様々なシステムがあります

マウスピース矯正はプラスチック製のマウスピース型矯正装置を歯に装着して、歯を少しずつ移動させていく治療方法です。マウスピースは透明ですので、付けていても目立たず、矯正中ということが殆ど相手にわかりません。

そのため、マウスピース矯正は目立たない矯正装置をご希望の患者さんには大変な人気となっています。

マウスピース矯正には様々な種類がありますが、マウスピースをはめて少しずつ歯を移動させる点はどのシステムも同じです。

ではシステム間の違いは何かというと、システムによって歯を動かす際の考え方や治療計画、マウスピースの素材や適応範囲が違ってきます。多くのマウスピース矯正のシステムの中でも世界中で一番症例数が多くグローバルスタンダードといえるのは、1999年にアメリカでアライン・テクノロジー社により誕生した「インビザラインシステム」です。

まとめ

インビザラインは他の多くのマウスピース矯正とは一線を画し、適応範囲が広く、世界中マウスピース矯正は透明で目立たない装置で、歯を移動させる治療方法です。インビザラインは世界中で最も人気のあるマウスピース矯正システムであり、症例数が多く、歯科医師のスキルによって治療範囲が変わります。

iTeroという3Dスキャナーを使用し、治療計画とマウスピースの製造が自動化されています。さらに、アタッチメントと呼ばれる装置を使用して歯に力をかけ、新しい素材であるSmartTrackが正確な治療を可能にします。

また、後戻りの治療にも適しています。で症例数の多い治療法です。歯科医師のスキルによって重度の不正咬合も適応となり、非抜歯で矯正治療を行うケースも多くあります。

インビザラインの特徴について、以下の2つの研究を参考に説明します。

1. Giancotti, Greco, & Mampieri (2006) の研究では、インビザライン治療法が成人患者や難治性の矯正症例において、従来の矯正治療法に代わる選択肢として注目を集めていることを示しています。この研究では、上顎第一小臼歯の抜歯を伴う第II級不正咬合で重度のアーチの混雑がある症例にインビザラインを使用し、アライメントの段階を成功裏に完了させましたが、冠の傾斜によるスペース閉鎖が行われ、正しい根の傾斜なしに固定装置の段階が必要となりました【Giancotti, A., Greco, M., & Mampieri, G. (2006). Extraction treatment using Invisalign Technique. Progress in Orthodontics, 7(1), 32-43】。

2. Papadimitriou, Mousoulea, Gkantidis, & Kloukos (2018) の研究では、インビザライン®システムの臨床効果に関する文献を系統的に検討し、非抜歯治療の軽度から中等度の不正咬合に対する有効な代替治療法であることが示されています。また、このシステムは、歯のレベル、チッピング、デローテーション(犬歯および小臼歯を除く)を予測可能に行うことができる一方で、身体的な歯の移動によるアーチ拡大、抜歯スペースの閉鎖、咬合接触の修正、大きな前後および垂直方向の不一致の修正においては効果が限定的であると指摘されています【Papadimitriou, A., Mousoulea, S., Gkantidis, N., & Kloukos, D. (2018). Clinical effectiveness of Invisalign orthodontic treatment: a systematic review. Progress in Orthodontics, 19】。

これらの研究から、インビザラインは成人患者や難治性の症例に対して有効な選択肢であり、特に軽度から中等度の不正咬合の治療に適していることがわかります。しかし、すべての矯正治療がインビザラインで可能というわけではなく、症例によっては従来の固定装置が必要になることもあります。

・Giancotti, A., Greco, M., & Mampieri, G. (2006). Extraction treatment using Invisalign Technique. [詳細はこちら] ・Papadimitriou, A., Mousoulea, S., Gkantidis, N., & Kloukos, D. (2018). Clinical effectiveness of Invisalign orthodontic treatment: a systematic review. [詳細はこちら]

この記事の監修者
医療法人真摯会 高槻クローバー歯科
院長 髙野 祐

2013年 岡山大学 歯学部卒業。2014年 岡山大学病院臨床研修終了

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高槻クローバー歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック