歯と口のトラブル

歯茎が腫れる原因を教えて

歯茎が腫れる原因を教えて

高槻クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 髙野 祐

歯茎が腫れる原因はいろいろあり、その症状も「歯茎が赤くなっている」「歯茎がぷっくり腫れている」「歯茎が痛い」「歯茎から膿が出る」など、様々です。それらの症状を引き起こしている原因についてご説明します。

歯茎が腫れる様々な原因

歯茎が腫れる場合、お口の中以外の病気が原因のこともありますが、今回はお口の中の原因についてみてきます。

1. 歯周病

歯周病の進行

歯周病は日本人の成人の約8割がかかっているといわれているため、他人事ではありません。歯と歯茎の間のすき間に食べ物のカスが残り、それが歯垢となってその中で細菌が増殖することで歯茎に炎症を起こします。

歯茎が腫れる原因は歯周病によるものであることが最も多く、歯肉炎にかかっている方は歯ぐきに軽度の腫れが見られる場合が殆どです。軽度の歯肉炎の状態であれば、毎日のセルフケアで歯ブラシをしっかり行い、歯垢(プラーク)を出来るだけきれいに落とすことで改善します。

歯と歯の間や、歯周ポケットと呼ばれる歯茎と歯の間の溝の部分はセルフケアでは除去しにくいため、3ヵ月に1回位のタイミングで歯医者でクリーニングを受けていただくと、歯周病の予防に繋がります。

歯周病が悪化すると歯茎の腫れや出血を起こし、膿が出る状態になると強い口臭もします。最悪の場合は歯を失うことにも繋がりますので、出来る限り早めに治療を始めましょう。

2. 根尖病巣による根尖性歯周炎

歯の根の部分で炎症が起こって腫れている状態が根尖性歯周炎です。虫歯が進行して細菌が歯の根に達したり、歯の根が割れて周囲の細胞が炎症を起こした場合などに発症します。歯の根の周辺に膿がたまり袋状のものを形成します。その袋状のものが破れると、歯茎が腫れるだけでなく、膿が出てきます。

根尖病巣の場合は根管治療と呼ばれる歯の根の治療を行います。治療して炎症がおさまっても、また腫れを繰り返す場合もあります。

3. 歯髄炎

虫歯とは?

主に虫歯が原因で起こります。虫歯が歯の表面のエナメル質を溶かし、その内部の象牙質へ進み、更にその内部の歯髄まで達すると、歯髄は血管と神経で出来ていますので、常に痛みを感じるようになります。そのまま治療せずに放っておくと歯髄が壊死を起こして、そうなると抜歯しなければならなくなる場合もあります。

4. 口内炎

口内炎の放置は危険な場合もある

歯茎に小さな白くて丸い腫れがある場合は、アフタ性口内炎の可能性があります。口内炎の原因ははっきりしておらず、疲れが溜まったりストレスがあったりすると起こる方もおられます。何度も起こる場合は歯科医院にご相談ください。

5. 智歯周囲炎

親知らずの生え方

親知らずが生えかかっている時には、歯茎が腫れて痛む場合があります。親知らずが生えてくる段階でその周囲に炎症が起こりやすく、親知らずがある程度生えて状態が落ち着くまでは痛みが続く方が多いです。痛みや腫れにはかなり個人差があり、疲れやストレスがあるときに腫れや痛みが起こる方もおられます。

6. 食べ物が歯に挟まった

食べ物が歯に挟まったままになって長時間経過すると、歯茎が炎症を起こして腫れることがあります。この場合は挟まっている食べ物を取り除くことで炎症は治まり、歯肉の腫れや違和感などの症状もなくなります。

食べ物が挟まった原因が、虫歯や詰め物・被せ物の欠けや段差によるものであるなら、治療が必要かもしれませんので、一度歯科医院でご相談ください。

歯茎が腫れた時の対処法

歯茎が腫れて痛い時には、以下の対処法を参考にしてください。ただし夜間や休日など、歯医者に行けないときの応急手当となります。おさまらない場合は歯医者で相談しましょう。

1. うがい薬・ブラッシング

歯磨き

まず、うがい薬でうがいをしたり、気になる部分の歯磨きを丁寧にしてみましょう。お口の中の細菌を減らすことによって腫れがひき、症状が落ち着くことがあります。

歯と歯のすき間に食べ物がひっかかったまま放っておいたことが原因の場合は、これだけで治ってしまうこともあります。ただしブラッシングのし過ぎには十分に注意して、歯茎を傷つけないようにしましょう。

2. 腫れている部分を冷やす

氷

腫れがひどい場合は冷やしタオルや、保冷剤をタオルで包んだりして、頬の外側から患部を冷やします。氷などでお口の中から冷やしたり温めたりすると、腫れや痛みが悪化する場合があります。

3. 鎮痛剤を飲む

薬の服用

痛みが強い場合には、市販されている鎮痛剤も有効です。ただしお薬は応急処置ですので、痛み止めの薬が必要なほどの痛みの場合は必ず歯科を受診しましょう。

歯茎から出る膿は自分では出さないように

歯茎から膿が出ているときは、出してしまいたくなりがちですが、歯茎を押して膿を出すと、膿の原因となっている炎症が更にひどくなるリスクがあります。触ると細菌感染の危険もありますし、膿は一度出してもまたたまる場合が多いので、出来るだけ触らないようにして、早めに歯科を受診するようにしましょう。

歯茎が腫れる原因に関するQ&A

歯茎が腫れる主な原因は何ですか?

歯茎が腫れる主な原因は、歯周病、根尖性歯周炎、歯髄炎、口内炎、智歯周囲炎、食べ物が歯に挟まったことなどがあります。

口内炎が歯茎の腫れを引き起こすことがありますか?

口内炎は、歯茎に小さな白くて丸い腫れが現れることがあります。口内炎の原因ははっきりしていませんが、疲労やストレスなどが関与することもあります。

歯茎が腫れた時の応急処置方法はありますか?

歯茎が腫れて痛い場合の応急処置として、うがい薬やブラッシングで口内を清潔に保つことが重要です。また、炎症がひどい場合は腫れた部分を冷やしたり、鎮痛剤を使用したりすることも考慮できます。ただし、症状が持続する場合は歯科医院での診察が必要です。

まとめ

歯のキャラクター

歯茎の腫れや痛みは様々な理由から起こります。その原因によってはすぐに治療が必要が場合もありますので、歯茎の腫れや痛みが続く場合は、まず歯科を受診するようにしましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 高槻クローバー歯科
院長 髙野 祐

2013年 岡山大学 歯学部卒業。2014年 岡山大学病院臨床研修終了

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高槻クローバー歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック